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141. One Earth: 地上における人類の資源消費(フットプリント)が手付かずの生態系の喪失を誘引
2020年9月18日、One Earth誌にて、「地上における人類の資源消費(フットプリント)が手付かずの生態系の喪失を誘引するChange in Terrestrial Human Footprint Drives Continued Loss of Intact Ecosystems」が公表されました。
生態系への人間活動の影響を地図上に可視化することは、地球システムに関する人類の影響を理解する上で重要です。近年、コンピューター能力の向上、地球観測衛星、最新ボトムアップ型センサス、クラウド上のデータ等により、我々のマッピング能力も進化しています。本論文は、地上における人類の資源消費(フットプリント)とグローバル・生物群系・エコリージョンの各スケールにおける人類活動の変化を捉える最新地図を提供します。
2013年、地球上の陸域の42%は人為的な攪乱要因とは相対的に無縁であり、25%が(人類の活動範囲から最も劣化していない) 手付かずの自然(“wilderness”)であると推定されました。他方、2000年から2013年の間に、比較的人類の攪乱要因から無縁であった190万平方キロメートルの土地 ― メキシコの国土に相当する面積 ― が改変されました。熱帯-亜熱帯草地・サバンナ・灌木エコシステムにおいて最も変化が見られましたが、東南アジアの熱帯雨林も急速な変化を経験しました。論文の結果は、人類のフットプリントが、地球に最後に残る手付かずのエコシステムを侵食しているという事実を示しており、保全のために最大限の努力が必要とされていることを意味しています。
ハイライト
• 地球の陸域の58.4%が程度の差こそあれ人類活動の影響下に置かれています。
• 2000~2013年の間に、190万平方キロメートルの手付かずの地域が人類活動により改変されました。
• 世界的に見て、熱帯草地と東南アジア森林が最大のインパクトを受けています。
• 地球に残された手付かずのエコシステムを保全するための努力が早急に求められています。
参考文献
Williams et al. 2020. Change in Terrestrial Human Footprint Drives Continued Loss of Intact Ecosystems One Earth VOLUME 3, ISSUE 3, P371-382, SEPTEMBER 18, 2020 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590332220304188
(文責:研究戦略室 飯山みゆき)