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518. 国際貿易の生物多様性フットプリント

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518. 国際貿易の生物多様性フットプリント

今年、2022年は国連生物多様性条約第15回締約国会議が開催されることになっており、生物多様性アジェンダ達成の運命を握る年とされています。

 
人類を支えるエコシステムサービスの供給に欠かせない役割を果たす生物多様性が、今、危機に晒されています。人類の活動は、直接的な生存圏の喪失や間接的には気候変動を通じ、生物多様性喪失の最大の要因となっています。適切な介入がなければ、生物多様性の喪失、とりわけ種の絶滅は増加するでしょう。しかし、種の絶滅の要因となっている事象は、しばしば種の存在する地域とははるか離れた場所での消費やサービスに起因し、原因と結果の間には大きな地理的乖離があります。

最近Scientific Reports誌で公表された論文は、188諸国の絶滅危機フットプリントを分析・分類しました。分析によると、主にヨーロッパ・北米・東アジアの76か国が絶滅危機フットプリントの純輸入国であり、主にアフリカの16か国が純輸出国で、96か国では国内消費が絶滅危機フットプリントの最大要因であると推計されました。全体として、国際貿易が世界の種の絶滅フットプリントの29.5%に相当すると推計されました。

論文著者らは、本推計結果が、人類と生物多様性の関係を変革するための介入設計の上で、人類の消費の在り方を見直す契機を提供することを期待します。

(参考文献)
Amanda Irwin et al, Quantifying and categorising national extinction-risk footprints, Scientific Reports (2022). DOI: 10.1038/s41598-022-09827-0

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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