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130. Science Advances. 生物多様性喪失と気候変動悪化を食い止める“グローバル・セーフティーネット”

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2020年9月4日、Science Advances誌にて、論文「生物多様性喪失と気候変動悪化を食い止める“グローバル・セーフティーネット” A “Global Safety Net” to reverse biodiversity loss and stabilize Earth’s climate」が公表されました。

生物多様性喪失と気候変動を食い止めるための世界戦略は、二つの危機が密接に関わっているにもかかわらずバラバラに議論され、その結果失敗するリスクが存在します。

グローバル・セーフティ・ネットは生物多様性の保全と気候の安定化のために必要とされる自然保護地域を指し、自然保護によって、さらなる生物資源喪失・土地利用変化からの二酸化炭素排出を回避することが可能となります。現在保護されている地球上の陸地の15.1%に加えて、さらに35.3%を合わせた50.4%相当の陸地の保全を必要としており、50のエコリージョン*と20か国が提案された目標達成の対象地域になります。グローバル・セーフティ・ネットで示された地域を保全することで、生物多様性の喪失を防ぐことができ、COVID-19のような人獣共通感染症による医療危機の発現可能性を削減することが期待されます。

次のリンクから、インターアクティブ・マップを見ることが可能です(ネットワーク環境によるようです)。

https://www.globalsafetynet.app/

https://www.globalsafetynet.app/viewer/

https://www.globalsafetynet.app/rankings/

*エコリージョン(Wikipedia): 生物地理区より小さな生物地理学的地域。エコリージョンは、陸地および水圏の比較的大きな地域を含み、地理的に異なった特徴的な生態系の集合体を含む。エコリージョン間の違いは、その植物相・動物相・生物多様性の違いによって特徴づけられる。WWFは、地球上を825ヶ所の陸域のエコリージョンと約450ヶ所の淡水域のエコリージョンに分類している。

参考文献

E. Dinerstein et al. A “Global Safety Net” to reverse biodiversity loss and stabilize Earth’s climate Science Advances  04 Sep 2020: Vol. 6, no. 36, eabb2824 DOI: 10.1126/sciadv.abb2824 https://advances.sciencemag.org/content/6/36/eabb2824

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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