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126. ジョセフ・スティグリッツ―大格差時代の克服にむけて

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国際通貨基金(IMF)のFinance & Development誌2020年秋号にて、2001年ノーベル経済学賞受賞の経済学者Joseph Stiglitz教授が論考「大格差時代の克服に向けて Conquering the Great Divide」を寄せました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、社会に大きな格差を刻み込んでいます。健康に問題を抱えている人や、日常的に他人に接触する機会の多い人ほど、COVID-19の影響を受けています。これは貧困国に限られたことでなく、先進国にもかかわらず医療システムへのアクセスが保障されていないアメリカの貧困層が必要以上にリスクにさらされていることを意味します。

先進国でも所得格差の解消が求められますが、このパンデミックは世界中のありとあらゆる場所で制圧されなければ収束できず、経済も世界的に堅調な回復が保証されるまで復活することはないでしょう。先進国による途上国や新興国が必要としている支援は、人道的な関心だけでなく、自国の利益にもなるのです。協力がなければ、世界的なパンデミックは長引くことになり、世界の格差は拡大し社会の分断が進むでしょう。

パンデミックはしばらく我々の生活に影響を与え続けるでしょう。そしてその影響を受けて経済危機はさらに長引くことが予想されます。今からでもアクションを起こすのは遅くはありません。

参考文献

Joseph Stiglitz CONQUERING THE GREAT DIVIDE. FD Finance & Development Fall 2020 Issue. International Monetary Fund. https://www.imf.org/external/pubs/ft/fandd/2020/09/COVID19-and-global-i…

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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