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64. 国連食糧農業機関 (FAO) 2020年6月食料価格動向速報

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国連食糧農業機関(FAO) は、世界・地域・国レベルでの最新価格動向について、食料価格動向速報(Food Price Monitoring and Analysis: FPMA Bulletin Monthly Report)を公表し、とくに価格上昇が観察される国々の事情について詳細な情報を提供しています。 以下、2020年6月速報の概要を紹介します。  

国際小麦価格は、前月に上昇していましたが、5月には2020/21年収穫期における世界的に恵まれた供給見通しを受けて下落しました。ベンチマークであるUS小麦価格は一トン当たり平均223ドルと4月水準より4%低く、4月分の上昇を殆ど相殺しました。それでも2019年同時期に比べて5%高めとなっています。貿易需要の低迷が追加的な価格下落圧力となっているものの、欧州の一部・黒海地域における乾燥した気候が小麦価格の下落を抑えています。

メイズ輸出価格は5月にさらに下落し、ベンチマークのUSメイズ価格は一トン当たり平均144ドルの値をつけ、4月から1%、年間で16%下落しました。北・南半球の双方における十分な輸出・供給見込により価格下落傾向が続き、飼料・産業用需要から見てもしばらくは価格上昇の兆しは見られません。ただしアメリカでは、原油市場の戻しと輸出需要が価格の下げを限定的にしています。

5月、FAOの全コメ価格指標 (2002-2004=100)は、主にジャポニカとバスマティの見積もり相場上昇を受け、5か月連続での上昇を記録しました。アジア輸出国では、輸出価格トレンドは上昇・下落混在した結果となりました。タイでは、競合する輸出国間の価格差を埋めるために価格は月ベースで8.1%下落しました。パキスタンでもインドとの競争で価格が下落傾向にありました。インドとベトナムの見積もりでは強い輸出需要が反映されました。アメリカでは価格は上昇傾向にあり、南米からの供給関心を引き付けています。

参考文献

FAO. Food Price and Monitoring Analysis. http://www.fao.org/giews/food-prices/home/en/

FAO. FPAM (Food Price and Monitoring Analysis) Bulletin #5. June 10, 2020. http://www.fao.org/3/ca9506en/ca9506en.pdf

Pick Up 38. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 国連食糧農業機関 (FAO) 2020年5月食料価格動向速報 https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20200515

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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