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55. 新型コロナウイルス・パンデミック - アフリカにおける気候危機・パンデミックへの強靭性構築のための総合的対応

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2020年5月、アフリカ54か国の首脳と第8代国際連合事務総長の潘基文氏が共同議長を務める気候変動適応のためのグローバルセンター (Global Center on Adaptation)は「アフリカにおける気候危機・パンデミックへの強靭性構築のための総合的対応 Integrated Responses to Building Climate and Pandemic Resilience in Africa」政策概要を公表しました。以下、概要を紹介するブログの内容から抜粋します。

アフリカはCOVID-19の打撃を受ける中、気候変動の影響にも脆弱です。アフリカにおける野心的な刺激策は、COVID-19後の「よりよい復興」に使われるべきです。政策概要は、アフリカがパンデミックのリスク削減と同時に気候変動の強靭性と経済復興という「3重の配当triple dividend」を得るには、食料安全保障、水資源アクセス改善、強靭なインフラ構築、分野に刺激対策資金を投入すべきとしています。

食料安全保障:今日、アフリカの人口の74%が食料安全保障の問題をかかえており、COVID-19がさらに状況を悪化させると想定されます。急速に増え続ける人口を養うために、サブサハラアフリカ諸国は輸入食料に依存しなければなりません。パンデミック以前でさえ、2017年の350億ドルから2030年に1100憶ドルに輸入額が増加すると予測されていました。COVID-19は、アフリカの食料安全保障の危機をもたらしかねません。女性小規模農家支援やデジタル技術の推進が危機を乗り越える選択肢となりえます。

水資源アクセス改善:アフリカでは、3億2000万人の人々が安全な飲料水へのアクセスがなく、半分以上の人口が公衆衛生設備へのアクセスがありません。COVID-19拡大回避のために頻繁な手洗いが必要な時には致命的です。したがって、大陸全体で水管理のガバナンスを向上しつつ、水・公衆衛生設備へのアクセスを改善すべきです。

強靭なインフラ構築:アフリカの成長を持続させ、貧困撲滅を加速させるうえで、強靭なインフラへの投資は必須です。COVID-19パンデミックは、危機下でも機能する強靭なインフラの必要性を明らかにしました。世界銀行によると、アフリカは次の10年間、不足しているインフラのギャップを埋めるために毎年1000憶ドルの投資が必要となるとのことですが、EUの分析によると、1ドルの投資あたり4ドルのリターンが期待されます。

 

参考文献

Global Center on Adaptation. Is a green recovery in Africa possible after Covid-19? https://gca.org/solutions/is-a-green-recovery-in-africa-possible-after-covid-19

Global Center on Adaptation. INTEGRATED RESPONSES TO BUILDING CLIMATE AND PANDEMIC RESILIENCE IN AFRICA.  A Policy Brief from the Global Center on Adaptation & African Adaptation Initiative May 2020. https://cdn.gca.org/assets/2020-05/GCA-AAI_Policy_Brief.pdf

Thomson Reuters. OPINION: To avert a COVID-triggered famine, our global food systems need to change by Ban Ki-moon and Dag-Inge Ulstein | Global Commission on Adaptation Friday, 22 May 2020.  https://news.trust.org/item/20200522094357-itz0e/

 

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