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1540. 東南アジア連絡拠点だより:タイの花食文化
1540. 東南アジア連絡拠点だより:タイの花食文化
タイでは古くから、花を単なる観賞用植物としてではなく、野菜や香味食材の一種として利用してきました。家庭料理から地方料理、さらには伝統菓子に至るまで、さまざまな花が食卓を彩っています。花には独特の香りや食感、色彩があり、料理の味だけでなく見た目の美しさも引き立てています。
タイは一年を通じて多種多様な植物が生育する環境にあり、そのため地域の人々は昔から周囲に自生する植物を食用として利用してきました。国際農研のホームページでは、こうした地域特有の野菜・食用植物に関する情報として「タイ地域野菜データベース」を公表しています。今回は、そのデータベースに記載されている植物のうち、花が料理に用いられているものを取り上げて紹介します。
食用花として用いられる代表的な植物
サノー(タイ語表記:โสน)
学名: Sesbania javanica
サノーは、湿地や水田のあぜ道などに自生するマメ科の植物で、高さは2~3メートルほどに成長し、鮮やかな黄色の花が特徴です。東南アジア連絡拠点(バンコク市内)の近くにある食堂では、タイ風卵焼き「カイジャオ」の具材としてサノーの花が用いられています。また、花にはカロチノイド系の色素成分が含まれているとされ、甘いココナッツミルクで調理したもち米粉ボール「カノム・ブア・ロイ」などのデザートに黄色を与える目的でも利用されています。
なお、サノーの花はタイ中部のアユタヤ県の県花とされており、地域性の景観や食文化とも深く結びついた植物です。
ケー(タイ語表記:แค)
学名:Sesbania grandiflora (L.) Desv.
ケーは日本名でシロゴチョウとよばれ、タイで最も一般的な食用花の一つとされています。白色または赤色の大きな花をつけ、軽い苦味があることが特徴です。現地では、苦味の強い雄蕊を取り除いた花を湯通しし、ナム プリック(ディップソース)と一緒に食べることが多いです。また、ゲーンソム(甘酸っぱさのあるカレー)に加えられたり、豚肉やエビと一緒に揚げたり、小麦粉と混ぜて衣にして揚げたりと、さまざまな料理に利用されています。
クルアイ(タイ語表記:หัวปลี)
学名:Musa spp.
タイでは、バナナの花芽が料理に用いられています。郷土料理の材料として一般的に使われており、ほんのりとした苦味と歯ごたえが特徴です。タイカレーの主な具材として用いられるほか、細切りにして生のまま、あるいは軽く焼いて、炒め麺料理のパッタイに添えられる食べ方も見られます。
サダーオ(タイ語表記:สะเดา)
学名:Azadirachta indica A. Juss.
サダーオは、和名をニームやインドセンダンと呼ばれる植物で、その花芽は独特の強い苦味を持ちます。タイの野菜の中でも特に強い苦味で知られており、この苦味に関連した伝統的な薬用利用も知られています。タイの伝統野菜の一つとして人気があり、エビと一緒に和えたサラダ「ヤム・サダーオ・クンソット」として食べられる料理が代表的です。
日本では花を食べる機会は限られていますが、タイでは花は身近な食材の一つとなっています。人々は自然の恵みを上手に活用し、花の持つ色彩や香り、栄養価を日々の食卓に取り入れています。タイを訪れた際には、ぜひ花を使った料理を味わってみていただきたいと思います。
参考:タイ地域野菜データベース
https://www.jircas.go.jp/ja/database/thaivege
文責:東南アジア連絡拠点 金森紀仁