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1491. 東南アジア連絡拠点だより:タイの餅麹「ルクパン」

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1491. 東南アジア連絡拠点だより:タイの餅麹「ルクパン」

 

麹の世界

麹(糀)は日本だけでなく中国や韓国などの東アジア、そして東南アジアなどで幅広く用いられています。中国では麹のことを『曲』、韓国では『ヌルク』、タイでは『ルクパン』、フィリピンでは『ブボット』、インドネシアでは『ラギー』と呼ばれています。さらに、ネパールやブータン、チベットなどの山岳地帯にも存在しています。いずれも穀物を用いて微生物を繁殖させたものを指します。

 

世界の麹

国・地域 呼び名 主な麹の種類
日本 麹・糀 バラ麹
中国 曲(チィー) バラ麹・餅麹
韓国 ヌルク 餅麹
タイ ルクパン 餅麹
フィリピン ブボット 餅麹
インドネシア ラギー 餅麹
ベトナム メン 餅麹
チベット ムルチャ・マルチャ 餅麹

  

麹の最も大きな役割は麹が持つ酵素を食品に利用することです。麹菌のでんぷん分解酵素(アミラーゼ)によってデンプンが糖に分解されることで甘みを、たんぱく質がプロテアーゼによってアミノ酸に分解されることで旨みが生まれます。日本では日本酒、味噌、醤油、みりん、酢、焼酎など、多くの伝統的な発酵食品に用いられており、日本醸造学会は2006年10月12日に麹菌が日本独自の気候風土の中で育まれ日本の食文化に欠かせない存在であることから「国菌」に認定しています。

日本ではお米、麦、豆などに純粋な種麹を増殖させて麹(バラ麹)を作っているのに対して、海外では餅麹と呼ばれる麹が使われています。餅麹は穀物を挽いて粉にしたものを団子状などに丸めて自然に存在する微生物を生やして作られ、Mucor属(ケカビ)やRhizopus属(クモノスカビ)などのカビの他に、Saccharomycopsis属やSaccharomyces属の酵母、乳酸菌や酢酸菌などが混在して繁殖しています。これにより餅麹で作られた食品はとても複雑な味わいになります(一方で失敗するリスクも大きいです)。

 

タイの餅麹
日本の麹は、米一粒、一粒にコウジカビを生やしたバラ麹と言われるものですが、タイの麹はルクパン(ลูกแป้ง)と呼ばれ、米の粉末を練り上げて丸く整形して作ります。
主にルクパンはカオマーク(甘酒)やサトー(米酒)に用いられますが、これらの材料は少し異なります。カオマークは白い色が好まれるため、ルクパンを作る際の原材料にお米以外のものをあまり加えません。このため白色のルクパンができます、サトー用のルクパンには数十種類の様々な薬草を粉末状にして加えられているため、少し茶色みがかかっています。色々な地域で独自にサトーが作られていて、それぞれのオリジナルのレシピのルクパンが存在しています。お酒はタイでも儀式などに用いられたとの事で、薬草を使うのに意味がありそうです。

 

*本記事は現地の食文化を紹介するものであり、摂取にあたっては各自で安全性に十分配慮する必要があります。

文責:東南アジア連絡拠点 金森紀仁


 

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