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1529. 通年化する海洋熱波が示す新たなリスク:1.5℃水準下における海洋生態系への影響

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1529. 通年化する海洋熱波が示す新たなリスク:1.5℃水準下における海洋生態系への影響

 

近年、海洋の異常高温(海洋熱波)は、発生範囲の拡大、強度の増大、持続期間の長期化といった傾向を示しており、海洋生態系およびそれに依存する社会に深刻な影響を及ぼしつつあります。One Earth誌に掲載された研究は、2023年から2024年にかけての記録的な高温期間を対象に、こうした影響が季節を問わず発生していることを報告しています。

本研究によれば、この期間には海面水温が観測史上例のない高水準に達し、また地球平均気温も産業革命前比で1.5℃前後の水準が一定期間継続するなど、極めて異例の状況が観測されました。従来、海洋熱波の影響は主に夏季に集中すると考えられてきましたが、本研究はこの前提の見直しを示唆しています。すなわち、海洋熱波は年間を通じて発生しており、熱帯以外の地域では、影響事例の約3割が従来「低温期」とされる季節に確認されたと報告されています。

さらに本研究では、世界各地で報告された201件の影響事例を分析し、その多くが異常高温と強く関連していることが示されています。特に、半数以上の事例で海洋生物の大量死が報告されており、サンゴ礁の大規模白化や生態系の崩壊に加え、海草・海藻の減少、魚類や貝類の大量死、さらにはペンギンなど極域生物の繁殖失敗など、多様な影響が確認されています。

加えて、これらの影響は単一の熱ストレスにとどまらず、低酸素状態、異常気象、生物災害(疾病や有害藻類の発生)などが重なる「複合的事象」として発生する場合があることも指摘されています。このような複合的影響は、生態系へのリスクを一層増幅させる要因となり得ます。

また本研究は、夏季に限定した従来の評価手法では海洋熱波の実態を十分に捉えられない可能性を指摘しています。季節ごとに異なる生態系の応答や生物過程を踏まえると、非夏季に発生する熱異常は、これまで十分に認識されてこなかった影響を顕在化させる可能性があります。

以上を踏まえると、本研究は、気温上昇が1.5℃前後の水準に達した状況下において、海洋生態系にどのような影響が生じ得るかを示す重要な知見を提供していると考えられます。海洋は気候システムの中核を担うとともに、食料供給、沿岸経済、生物多様性に広く関与していることから、その変化への対応は喫緊の課題です。今後は、年間を通じたモニタリングの強化や早期警戒体制の整備に加え、適応策の一層の充実が求められています。

 

(参考文献)
Shannon G. Klein et al, Year-round marine heat extremes severely impact marine life during the first year at 1.5°C warming, One Earth (2026). https://www.cell.com/one-earth/fulltext/S2590-3322(26)00147-8?_returnUR…


(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

 

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