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1527. 亜熱帯の島から世界へつながる研究最前線:熱帯・島嶼研究拠点(石垣)の取り組み
1527. 亜熱帯の島から世界へつながる研究最前線:熱帯・島嶼研究拠点(石垣)の取り組み
6月29日は国連が制定した「国際熱帯デー(International Day of the Tropics)」です。
国際農林水産業研究センター(国際農研)の“所在地”を検索すると、国内の2か所が確認できます。ひとつは本所がある茨城県つくば市、もうひとつが沖縄県石垣市にある熱帯・島嶼研究拠点(熱研)です。熱研は、1970年に国際農研の前身である熱帯農業研究センターの設立と同時に、沖縄支所として石垣島に設置されました。なお、「熱研」という呼称は、設立当初から地域の方々に親しまれてきた通称です。
熱研が本所から遠く離れた石垣島に設置されている理由は、国際農研が主に研究対象とする熱帯・亜熱帯地域の気候や環境と、石垣島の自然条件が類似しているためです。この立地特性により、海外の研究対象地域に近い条件で試験・研究を行うことが可能となっています。
石垣島は、北緯24°21′~ 24°35′、東経124°05′~ 124°20′に位置し、東京から約2,000km、鹿児島から約1,200km、那覇から約410km、台湾・台北からは約280kmの距離にあります。琉球列島南端の八重山諸島の中心に位置し、サンゴ礁の海から沖縄県最高峰の於茂登岳(おもとだけ、526m)に至るまで、多様な生態系が維持されています。年平均気温は約24℃、年間平均降水量は約2,100mmとされていますが、夏季には高温と少雨が重なり干ばつが発生することがあります。また、年に数回接近・上陸する台風は、恵みの雨をもたらす一方で、農業や地域に大きな被害を及ぼす場合もあります。
このような亜熱帯環境のもと、熱研には約21ヘクタールの広大な試験圃場や各種温室などの研究施設が整備されています。熱研ではこれらの施設を活用し、主に開発途上地域やアジア・太平洋の島嶼地域に役立つ農業生産技術の開発に向けた基盤的・基礎的研究を実施しています。また、研究成果を対象地域で実際に適用・検証するための実証試験も行っています。
近年、気候変動の影響により、国内外で気温上昇、台風や豪雨の増加、海面上昇といった現象が報告されています。農業分野においても、干ばつによる収量減少や品質低下、高温障害の発生などが課題となっており、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みの必要性も指摘されています。
一方、世界的な経済や社会情勢の変化により、エネルギー価格や物流コストの変動が世界の食料価格に影響を与えています。こうした国際情勢や市場の変動は、日本の農業経営にも影響を及ぼし、とりわけ燃料費や肥料費の負担増を通じて、長期的な生産基盤の維持が課題となりつつあります。
こうした状況を踏まえ、国際農研は、石垣島の気候・地理的特性を活かし、地球規模の食料・環境問題の解決に向けた最前線の研究拠点として、熱研の機能を強化しながら研究を推進しています。具体的には、開発途上地域への技術貢献に加え、国内においてもイネやサトウキビの品種育成への協力、熱帯性作物の遺伝資源の保存・維持管理、南西島嶼向けの豆類・野菜・熱帯果樹・牧草等の品種開発を通じて、地域農業の振興にも貢献しています。
なお、2026年7月4日(土)には、熱研の一般公開が予定されています。詳細は国際農研の公式ウェブサイト等でご確認ください。お近くの方は、ぜひご来場ください。
第19回一般公開を熱帯・島嶼研究拠点 (石垣市) で開催
― 令和8年7月4日 (土)、研究の最前線を親しみやすくご紹介―
https://www.jircas.go.jp/ja/release/2026/press202604
(文責:熱帯島嶼研究拠点 山中愼介)
