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1514. スーパー・エルニーニョは水・食料・森林に何をもたらすのか(WRI解説)
1514. スーパー・エルニーニョは水・食料・森林に何をもたらすのか(WRI解説)
エルニーニョ(ENSO)は、数年ごとに発生する自然現象であり、世界各地の降水量や気温に影響を及ぼします。2026年にかけて、太平洋赤道域の海面水温が平年より概ね2℃以上高くなるいわゆる「スーパー・エルニーニョ」に発展する可能性が指摘されています。世界資源研究所(WRI)は、こうした強いエルニーニョが水資源、食料生産、森林に与え得る影響について、専門家の見解を紹介しています。
以下は、WRI(2026年6月3日公表)に基づく内容です。
スーパー・エルニーニョは、通常よりも顕著な海洋・大気変動の伴い、干ばつ、洪水、熱波、森林火災などの極端現象を強める可能性があります。特に、地球温暖化により平均気温が上昇している状況下では、その影響が増幅される可能性があると指摘されています。
水資源への影響については、地域によって干ばつと洪水のリスクがともに高まるとされています。例えば、カリブ海地域、中米、ブラジル北部、インド、南部アフリカ、インドネシア、フィリピン、オーストラリアなどでは降水量の減少が見込まれる一方、米国南部、ペルー、エクアドル、東アフリカ、中東の一部などでは降雨量の増加が予測されています。スーパー・エルニーニョとなった場合、こうした偏りがより顕著になる可能性があります。
食料生産への影響について、WRIは地域差と不確実性の大きさを強調しています。過去の事例では、南部アフリカの一部地域で高温・乾燥条件により穀物生産が減少したことが報告されています。一方で、影響の程度は降雨の時期や量、作付時期、土壌条件、市場環境など多様な要因に左右されます。また、今回のエルニーニョが観測史上でも特に高温な時期に発生する可能性があることから、作物や家畜への熱ストレスが強まる可能性も指摘されています。
森林については、高温・乾燥条件が森林火災リスクを高めることが知られています。特にアマゾン地域では、過去の強いエルニーニョ年に大規模な森林火災が発生しています。WRIは、2026年後半から2027年にかけて、南米、東南アジア、オーストラリアなどで火災リスクが高まる可能性を示しています。ただし、森林火災は気候条件に加え、森林伐採や土地利用の変化といった人為的要因の影響も大きいとされています。
また、WRIは、エルニーニョの影響そのものを回避することはできないものの、早期警戒情報の活用により被害の軽減が可能であると指摘しています。灌漑施設の整備、洪水対策、耐乾性作物の導入など、事前の備えがレジリエンス向上に資するとされています。
(参考)
Sarah Parsons. How Might a ‘Super El Niño’ Affect Food, Forests and Water? World Resources Institute (WRI), 3 June 2026. https://www.wri.org/insights/super-el-nino-impacts-explained
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)