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1506. 国際ポテト・デー(FAO):食料安全保障と持続可能農業への示唆
1506. 国際ポテト・デー(FAO):食料安全保障と持続可能農業への示唆
国連食糧農業機関(FAO)は、2026年5月30日の「国際ポテト・デー(International Day of Potato)」に合わせ、ジャガイモの食料安全保障や持続可能な農業への貢献について発信しています。2026年のテーマは“Where potatoes grow, livelihoods flourish(ジャガイモの育つ場所で、人々の暮らしが栄える)”とされています。
FAOによれば、ジャガイモ(Solanum tuberosum)は現在、世界159か国で栽培されており、8,000年以上にわたり人類の食生活を支えてきた重要な作物です。さらに、世界には5,000以上の品種が存在し、気候変動や病害虫への適応力を高める遺伝的多様性の豊かさを有しているとされています。
またFAOは、ジャガイモはアンデス地域を起源とし、インカ文明を支えた作物であること、その後16世紀にヨーロッパへ伝播し、人口増加期の重要な食料源となったことを紹介しています。加えて、中国においても飢饉緩和に寄与した歴史的背景や、戦時下の食料不足時における重要な役割について言及しています。
一方でFAOは、1840年代のアイルランド飢饉について、単一品種への依存や遺伝的多様性の欠如が深刻な食料危機を招いた事例として取り上げています。この経験は、持続可能な農業や遺伝資源保全の重要性を示すものと位置付けられています。
さらにFAOによれば、ジャガイモは食料用途にとどまらず、近年では環境配慮型素材としての活用も進んでいます。例えば、ジャガイモ由来デンプンは、生分解性プラスチックや食品包装材、医薬カプセルなどへの利用が進められており、持続可能なバイオベース素材としての可能性が示されています。
また、ペルー・クスコ近郊には、地域住民が在来品種や伝統的農法を保全する「ポテトパーク」が設置されており、約12,000ヘクタールにわたりジャガイモの遺伝資源と先住民の知識が維持・管理されています。FAOは、このような地域主体の取り組みが農業生物多様性の保全において重要であるとしています。
FAOは今回の国際デーを通じて、ジャガイモが単なる主食作物にとどまらず、飢餓削減、貧困対策、気候変動への適応、地域経済の活性化など、多面的な役割を有することを強調しています。特に、小規模家族農業や女性農家が、ジャガイモ多様性維持や持続可能な農業の推進において重要な役割を果たしている点も指摘されています。
以上を踏まえると、今回の国際ポテト・デーは、世界的な食料不安や気候変動リスクが高まる中で、多様性と適応力に富む作物としてのジャガイモの価値を再認識する機会となっていると考えられます。
(参考)
FAO, International Day of Potato | 30 May https://www.fao.org/international-potato-day/en
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)