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1442. 2023年にアマゾンは弱い純炭素排出源に転じた
1442. 2023年にアマゾンは弱い純炭素排出源に転じた
アマゾンの熱帯雨林は、大量の炭素をバイオマスに貯蔵することにより、地球システムにとって極めて重要な役割を果たしています。陸上炭素吸収量は、森林伐採に起因する純炭素源と炭素吸収源とのバランスによって制御され、撹乱の少ない森林植生では、吸収量が炭素損失量を上回っています。しかし、干ばつ等による攪乱は、アマゾンの炭素吸収量にも影響を与えかねません。
とりわけ、2023年は年の後半を中心に約50%の日で、世界の平均気温が1850~1900年の基準期間より1.5°C高い値に達し、4月から12月にかけて世界の海面温度は記録的な値を記録しました。これらの記録的な温暖化に伴い、多くの地域で大規模な熱波や干ばつなど、陸上と海上の両方で極端な現象が観測されました。熱波の発生は、アマゾンにおける干ばつと高温の影響を増幅させ、10月の気温は1981~2020年の平均気温を3℃以上上回り、マナウス港では1902年の記録開始以来最低の水位を記録しました。
この南米での複合的な干ばつと熱波現象は、2022~23 年のラニーニャ現象から 2023 年半ばからのエルニーニョ現象への移行と、世界中の海洋での広範囲にわたる異常な温暖化と関連付けられています 。一方、2023年の世界大気中CO2濃度増加率は2.79 ± 0.08 ppmで、2000年以降で3番目、1959年以降で4番目に高い値となりました。比較として、2010年から2020年の平均増加率は約2.5 ppmでした。この2023年の異常に高い値は、2022年から2023年にかけて人為的CO2排出量が1.3%増加したというだけでは説明できない、世界の炭素吸収源が一時的に弱体化していることを示唆しています。
AGU Advances誌で公表された論文は、2023年の極端な干ばつ状況がアマゾンの炭素吸収能力にどのように影響したかを分析しました。論文は、二酸化炭素測定値、コンピューターシミュレーション、衛星データを統合して分析した結果、2023年にアマゾンは弱い純炭素源となったことを示しました。火災に関連する排出量は0.1億5000万トンで、過去20年間(2003〜2023年)の正常レベル内であり、2023年の炭素放出は、火災による損失の増加ではなく、植生による吸収力の低下が主な原因であると推定されました。コンピュータモデルは、1月から4月にかけて植生が例年よりも多くの炭素を吸収し、排出量を相殺したことを示していますが、5月にはアマゾンからの炭素放出量が増加し、10月にピークを迎えました。アマゾンからの炭素排出量の推定値は、2023年の熱帯地域全体の純炭素源の30%を占めると推定されます。
調査結果は、アマゾンがこれまでの予測よりも急速に純炭素源へと移行する可能性があることを示唆しました。2023年に発生したような強力なエルニーニョ現象はこの傾向を悪化させる可能性がありますが、太平洋を越えた広範囲にわたる海洋温暖化の役割も強調しており、複合的にこの地域の純炭素交換に大きく寄与していることを示唆しています。アマゾンの撹乱と回復のプロセス間の長期的なバランスを明らかにするための継続的な研究と現場モニタリングが必要とされています。
(参考文献)
S. Botía et al, Reduced Vegetation Uptake During the Extreme 2023 Drought Turns the Amazon Into a Weak Carbon Source, AGU Advances (2026). https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2025AV001658
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)