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1337. 2025年8月の世界気温と世界食料・肥料市場動向

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1337. 2025年8月の世界気温と世界食料・肥料市場動向

 

9月9日にEUのコペルニクス気候変動サービスが発表したところによると、2025年8月は世界的に史上3番目に暖かい8月となり、平均地上気温は記録上最も暑い2023年と2024年の8月よりも0.22℃低い16.60℃でした。2024年9月から2025年8月までの12か月間は、産業革命以前の水準より1.52℃高くなりました。2025年8月、世界的には、シベリア、南極大陸の一部、中国、朝鮮半島、日本、中東で気温が平年を上回った一方、北ヨーロッパの大部分やオーストラリアの大部分では気温が平年を下回りました。

世界気象機関(WMO)によると、今後ラニーニャ現象が2025年9月から12月にかけて発生する可能性、負のインド洋ダイポールモード現象(IOD)現象が2025年11月~場合によっては2025年12月まで続く可能性があり、後者によって東アフリカ東部では降雨量が平年を下回り、インド太平洋地域では降雨量が平年を上回る可能性があります。WMOは、9月以降、ラニーニャ現象による一時的な寒冷化の影響にもかかわらず、世界の多くの地域で気温は依然として平年を上回ると予想しています。

世界食料市場の透明性の維持・強化に貢献する情報提供を行っている農業市場情報システム(Agricultural Market Information System: AMIS)2025年9月レポートによると、8月、世界的な供給過剰と需要の低迷を主な要因として、小麦と米の輸出価格が数年ぶりの低水準に下落した一方、トウモロコシと大豆の価格は、輸出プレミアムの上昇と国際的な買い意欲の旺盛さに支えられました。

AMISレポートはまた、肥料価格動向も示しています。窒素肥料価格は、通常は閑散期であるインドからの需要が堅調だったことから特に上昇した一方、リン肥料とカリウム肥料の価格はほぼ横ばいでした。ただしAMISによると、多くの地域では肥料が作物価格に比べて手頃ではなくなりつつあり、農家が施用量を調整する可能性が高まっています。また、貿易とバイオ燃料政策をめぐる不確実な関係は、市場参加者にとって引き続きリスクとなっていると指摘しています。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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