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1112. 2024年9月 世界食料価格動向

1112. 2024年9月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、10月4日、世界食料価格動向を公表しました。2024年9月の値は平均124.4ポイントで、8月から3%上昇と、2022年3月以来の月別価格指標上昇率を記録しました。価格指標に含まれるすべての商品価格が上昇し、その上げ幅は食肉価格の0.4%から砂糖価格は10.4%も上昇しました。この数値は昨年よりも2.1%高いものの、2022年3月の史上最高値よりは22.4%低い値でした。
穀物価格指標は9月に113.5ポイントと、前月比で3.0%上昇、しかし前年比ででは10.2%低い水準でした。世界小麦輸出価格は3か月連続で落ち込んだ後、9月には主要輸出国の悪天候への懸念を受けて上昇しました。カナダとEUにおける過剰な降雨量によって、カナダの収穫は遅れ、EUでは生産予測の大幅な下方修正に繋がりました。一方、黒海からの競争的な価格による供給は、価格上昇を抑制しました。世界メイズ価格も、ブラジルの国内価格上昇とアルゼンチンの輸出攻勢に加え、ブラジルのマデイラ川・アメリカのミシシッピー川の水量減少を受け、前月比で上昇しました。コメ価格指標は、新米の出荷による取引の落ち着きとインディカ米価格の下落、そしてインド政府のバスマティ米輸出登録に対する最低価格の撤廃を受け、9月に0.7%下落しました。
植物油価格指標は前月比で4.6%上昇し、2023年初頭以来の高値となりました。パームオイル・ダイズ・ヒマワリ・ナタネの全ての価格指標が上昇しました。とくに国際パームオイル価格の上昇は4か月連続で、東南アジアにおける季節的な産出減に重なり生産が予想以下であったことを受けました。大豆価格はアメリカでの予想を下回る粉砕量であったことを反映しました。ヒマワリ・ナタネとも、2024・25期の生産減見込みに続く、供給引き締め見込みを受け、微増しました。
乳製品価格は9月に前月比で3.8%上昇、アジアの全般的な需要増や西ヨーロッパにおけるスキムミルクパウダーやバターの供給ひっ迫・在庫不足に対する堅調な購入需要を反映しました。
砂糖価格は9月に前月比で10.4%上昇しましたが、1年前よりもまだ22.7%低い価格にとどまっています。9月の上昇の背景には、2024・25年期の供給ひっ迫に対する懸念があります。ブラジルにおける干ばつによる不作見通しに加え、インド政府がサトウキビのエタノール生産転用規制を撤廃するという懸念が、世界価格の上昇に繋がりました。
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明日10月8日、FAOチーフエコノミスト マッシモ・トレロ氏の特別セミナーをオンライン開催し、昨今の世界食料安全保障事情についてご講演いただき、パネリストおよび参加者と意見を交わします。オンライン参加登録の方には視聴リンクをお送りしますので、登録まだの方は以下のリンクからお申し込みください。
[オンライン開催に変更] 国際連合食糧農業機関(FAO)チーフエコノミスト マッシモ・トレロ氏 特別セミナー:世界食料栄養安全保障及び強靭な食料システム実現のための優先的政策・投資オプション
https://www.jircas.go.jp/ja/event/2024/e20241008
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)