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1095. 2024年8月 世界食料価格動向
1095. 2024年8月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、9月6日、世界食料価格動向を公表しました。2024年8月の値は平均120.7ポイントで、砂糖・食肉・穀物価格指標の下落が植物油・乳製品価格の上昇を上回ったことで、前月よりごく僅かに下落しました。この値は前年比で1.1%低く、歴史的に最高値160.3ポイントを記録した2022年3月に比べ24.7%低い値にとどまりました。
穀物価格指標は8月に110.1ポイントと、前月比で0.5%下落、前年比で11.9%低い水準でした。世界小麦輸出価格は国際的に冷え込んだ需要と輸出国間の競争、とりわけ黒海地域諸国からの競争的な価格に押されて下落しました。アルゼンチンとアメリカで予想以上の収穫があったことも価格軟化に寄与しました。対照的に、世界メイズ価格は欧州連合やアメリカの一部での熱波の影響への懸念、またウクライナ国内供給が予測よりも低かった状況を受け、上昇しました。コメ価格指標は8月に0.6%上昇、インディカ米の季節的な需要ひっ迫を受けた価格上昇といくつかの輸出国での対米ドル通貨価値の上昇を反映しました。
植物油価格指標は前月比で0.8%上昇し、2023年1月以来の高値となりました。前月からの微増の背景に、パームオイル価格上昇に対する、ダイズ・ヒマワリ・ナタネ価格指標の下落があります。国際パームオイル価格の上昇は3か月連続で、季節的に改善傾向にあるものの、インドネシアの生産が資産能力以下にとどまっていることが背景にあります。逆に大豆価格については、2024・25年の豊作見込みを受けて下落しています。
砂糖価格指標は前月比で4.7%、前年比で23.2%下落、2022年10月以来の低値となりました。8月の下落要因となったのは、タイとインドでサトウキビ生産に適した降雨があったことで、2024・25年期の生産状況の見通しが改善したことにあります。加えて、国際原油価格の下落もサトウキビ価格の下落圧力となりました。一方で、8月末、ブラジルでの主要生産地におけるサトウキビ畑の野火のインパクトへの懸念、予想よりも低い産出量等を受け、世界砂糖価格は一時急騰し、全体的な価格下落傾向を抑制しました。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)