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1068. 紛争地域における深刻な食料危機

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1068. 紛争地域における深刻な食料危機

 

今日、世界の複数の地域で起きている紛争が、飢餓と深刻な食料危機をもたらしています。こうした危機の背景に、国家の脆弱性に加え、紛争・異常気象・気候変動・経済ショックによる緊張などの複数の要因が構造的に絡み合っています。紛争による(ロシア―ウクライナ問題を含む)穀物や農業投入財に関するサプライチェーンの寸断の影響は世界中に波及し、とりわけアフリカ・中東・アジアの食料安全保障に不安を抱える国々に打撃を与えています。

7月17日、食料安全保障と栄養に関するハイレベル専門家パネル(The High Level Panel of Experts on Food Security and Nutrition: HLPE-FSN)は、59か国の2.82億人が深刻な食料危機に直面しているとし、生死にかかわる問題に対して緊急の政策介入の必要性を訴えました。

2023年、食料危機はエスカレートし、前年に比べ緊急の食料安全保障危機に直面した人々は2400万人増えました。この中には、戦争や長引く紛争による食料危機に陥った次の20か国- アフガニスタン、ブルキナファソ、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、マリ、パキスタン、ソマリア、南スーダン、シリア、イエメン、ガザ、スーダン - の1.35億人に相当する人々を含みます。

HLPE-FSNは、次を強調しました。まず、紛争に関係するすべての関係者が、緊急食料危機のもとでも適切な法的フレームワークのもとで人々が十分な食料を入手する権利を保障すべきです。一方、国家が国民のベーシックニーズを満たすことができない事態において、人道援助も重要な役割を果たします。そのうえで、国際社会は、人道―開発―平和のネクサスを促進することで、紛争関連の飢餓を回避し、長期的に持続的で平等な食料システム構築に貢献すべきです。

 

(参考文献)
HLPE. 2024. Conflict-induced acute food crises: potential policy responses in light of current emergencies. Rome, CFS HLPE‑FSN
https://www.fao.org/cfs/cfs-hlpe/insights/news-insights/news-detail/new…

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

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