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874. 2023年9月 世界食料価格動向

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874. 2023年9月 世界食料価格動向

国連食糧農業機関(FAO)は、10月6日、世界食料価格動向を公表しました。2023年9月の値は平均121.5ポイントで、砂糖・穀物価格指標の上昇を植物油・食肉価格指標の下落が相殺し、前月と横ばいの水準となり、前年比で21.6ポイント(14.6%)低く、2022年3月のピーク値に比べ38.3ポイント(24.0%)低い値をとりました。

穀物価格指標は9月に126.3ポイントと、前月比で1.0%上昇しましたが、前年比で14.6%下低い水準です。9月の価格上昇を牽引したのは、それまで7カ月連続で下落していた国際メイズ価格が7.0%上昇したことを反映しています。メイズ価格上昇には、ブラジル産メイズへの強い需要、アルゼンチンでの農家販売の遅れ、米ミシシッピ川の水位低下による輸送費上昇、といった複合的な要因が関わっており、メイズ価格に合わせて国際ソルガム価格も上昇しました。対照的に国際小麦価格はロシアからの潤沢な供給を受け前月比で1.6%下落しました。国際コメ価格はインドの輸出規制に関する不確実性とアジアでの新米収穫前の供給逼迫にもかかわらず、全般的な需要低迷を受け9月に前月比で0.5%下落したものの、前年比で27.8%高い水準です。

植物油価格指標は前月比で3.9%下落、パーム油・ヒマワリ油・ダイズ油・なたね油全般の低価格を反映しました。

9月、砂糖価格指標は162.7ポイントと、前月比で9.8%上昇、2010年10月以来の高値となっています。この価格高騰は2023・24年シーズンにおいて、エルニーニョ現象による天候不順に見舞われたタイやインドでの供給減見込みへの懸念を反映しています。国際原油価格の上昇も砂糖価格の高騰に影響を及ぼしましたが、天候に恵まれたブラジルからの収穫と対米ドルでのブラジル通貨安が価格上昇の圧力を弱めています。

 

一方、週末の10月7日以来、中東情勢が不安定化しています。地政学的紛争が原油・燃料価格の高騰を引き起こす可能性もあり、商品市場の攪乱がサプライチェーンを通じて食料市場にも波及し、世界の食料安全保障に影響を及ぼしかねず、和平に向けて国際社会の連携が必要となるでしょう。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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