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709. 食料システムの転換は急務

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709. 食料システムの転換は急務

昨年、ロシアのウクライナ侵攻を契機に、世界食料価格は歴史的な高水準に達しました。国際市場の混乱は一時にくらべて落ち着いたものの、食料品の消費価格等の軒並み引き上げによって、生活費のコストプッシュインフレは、庶民の生活に影響を及ぼしています。

ウクライナ戦争は世間の関心が食料危機に向かうのに一役買いましたが、飢餓人口は戦争以前から上昇傾向にありました。一月中旬にアップされた世界銀行のブログは、問題は一時的なものではなく、より根が深いと指摘します。皮肉なことに、1961年から2020年まで、世界の食料生産は4倍増、2000年から2020年だけでも50%増加しているにもかかわらず、飢餓人口が増えているのです。食料システムの在り方に、何か問題があるに違いありません。

ブログは、世界人口に栄養ある食を提供しつつ、飢餓の撲滅と食料システムを持続的なものにするには、食料システムの転換が必要であると主張します。今日の食料システムは、人為的温室効果ガス排出の3分の1に貢献し、消費者に不健康な食の選択を促しつつ、健康な食ほど入手しづらいというジレンマをもたらすことで、毎年12兆ドルにのぼる社会・環境・環境コストをはらんでいるとされます。現状維持は持続的でなく、生産・輸送・消費の仕方を見直し、農業・食料システムの在り方をシステムとして変革する必要があります。

ブログは、同時に、万能策はないということを認めています。各国が異なる課題に直面しており、望ましいアウトカムを達成するための選択肢・戦略を見定めていく必要があります。ブログは、食料システムの転換は、政策策定過程におけるマルチ・ステークホルダーの対話を通じた、国ごとの分析の必要性を述べました。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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