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703. 氷河・積雪の融解

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703. 氷河・積雪の融解

今週は日本にも厳しい寒波が降りてきています。他方、温暖化によって、世界の氷床・氷河の融解が進行しています。

1月18日、Nature誌で発表された論文は、近年のグリーンランドの氷床上の気温は20世紀と比較しても1.5℃高く、人為的な温暖化の影響がグリーンランド中央部や北部にも達し、大量の氷床融解が加速していることを示しました。 

また1月上旬にScience誌に公表された論文は、グリーンランドと北極の氷床を除く山岳地帯の氷河が、温暖化による危機に直面していることを警告しました。こうした氷河は、気温上昇に応じて、2100年までに、1.5℃で26%、4℃の気温上昇で49%近くが融解する可能性を指摘されています。COP26での各国のコミットメントのもとで予測される2.7℃の気温上昇は、中緯度地域において2100年までに広範な氷河溶解をもたらすことが想定され、海面上昇に貢献しかねないと予測されています。

氷河だけでなく、積雪の減少も報告されています。最近のNature誌の論文によると、過去50年間、アルプスの積雪期間は、10年ごとに5.6%減少していることが観察されました。海抜2000m地域に植生するセイヨウネズ(common juniper)の年輪を分析する年輪気候学の手法で解析したところ、現在の積雪期間は長期の平均よりも36日間短くなっており、過去60年間で経験のない積雪の減少に直面しているとのことです。

 
Science誌の論説は、地球が次第に不可逆性を伴うような大規模な変化を伴う転換点をもたらしうるグリーンランドや北極海の氷床に比べて規模が小さいものの、山岳地帯の氷河の融解は、これらを水源とする人々の生活を支えていることを指摘します。これらが喪失することで数百万人の水源が失われ、また突発的な洪水や地滑りのリスクが増大するとし、温暖化抑制のためのアクションの必要性を訴えます。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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