Pick Up

630. 食事の質に関するグローバルな研究

関連プログラム
情報

 

630. 食事の質に関するグローバルな研究

今回は、9月にNature foodに掲載された論文(Miller et al. 2022)をご紹介します。世界中の人々が何を食べているかを正確に知ることは困難です。しかし、健康的で持続可能な食事を実現するための目標設定や投資を適切に行うためには、そのエビデンスが必要となります。

本論文では、世界食事データベースプロジェクト(Global Dietary Database project)のデータに基づいて、1990 年から 2018 年まで、185か国の子どもと大人とを対象に、世界、地域、国の食事パターンを、年齢層、性別、教育、都会度別に定量化しました。そして、食事の質のスコアとして有効とされる代替健康食事指数(Alternative Healthy Eating Index)を主に用い、高血圧予防のための食事アプローチと、地中海ダイエットスコアのパターンを副次的に用いることで評価を行いました。

食事の質は、世界的にみてあまり良いとは言えません。2018 年の世界の代替健康食事指数スコアの平均は 40.3 (0:最も健康的でない~100:最も健康的)でした。地域別の平均は、南米カリブ海の 30.3 から南アジアの 45.7 までの範囲となっています。子供の食事と大人の食事とを比較すると、中央/東ヨーロッパと中央アジア、高所得国、中東と北アフリカでは子供のほうが食事の質が低かったものの、概して差は小さいものでした。

世界的に、食事の質のスコアは、男性よりも女性の方が、また高い教育を受けた人のほうが高くなりました。食事の質は、1990 年から 2018 年の間に、改善されなかった南アジアとサブサハラアフリカを除く世界のすべての地域で、1990 年から 2018 年の間にわずかに改善しました。

(参考文献)
Miller, V., Webb, P., Cudhea, F. et al.  (2022). Global dietary quality in 185 countries from 1990 to 2018 show wide differences by nation, age, education, and urbanicity. Nat Food 3, 694–702 (2022). https://doi.org/10.1038/s43016-022-00594-9

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

関連するページ