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511. パッションフルーツ簡易ウイルスフリー化技術マニュアル動画の公開

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511. パッションフルーツ簡易ウイルスフリー化技術マニュアル動画の公開

温暖化等に対応した熱帯果樹の品種や技術の導入は、熱帯・亜熱帯地域の国々のみならず、国内でも今後の農業振興や食材・栄養源の多様化に大きく貢献する可能性を秘めています。石垣島にある国際農研の熱帯・島嶼研究拠点では、気候条件や地理的条件を生かし、熱帯作物の遺伝資源保存・評価や育種素材の開発、並びに南西諸島向けの品種や栽培技術の開発を行っています。 

情報プログラムの熱帯作物資源プロジェクトの熱帯果樹課題では、主にマンゴーやパッションフルーツの遺伝資源利活用に関する研究を行っています。パッションフルーツは、国内ではパインアップル、マンゴーに次ぐ生産量を占める熱帯果樹です。温暖化対策としての需要も見込まれ、さらなる国内生産の拡大が期待されています。パッションフルーツは、熱帯果樹ではあるものの花や果実のなる時期の極端な高温に弱く、また近年ウイルス病による被害が拡大しており、国際農研では、パッションフルーツの耐暑性の育種やウイルスフリー技術の開発にも取り組んでいます。

本日は、令和3年度の主要普及成果でもある、国内のパッションフルーツ栽培農家・種苗生産業者を受益者としたウイルスフリー化技術を紹介します。

パッションフルーツは主に栄養繁殖である挿し木で増殖されるため、ウイルス感染が拡大しやすい特徴を持ちます。症状がわかりにくいウイルスだと既に感染が蔓延しており、健全な増殖用の母樹を確保するのが困難な事例も出てきておりました。また感染個体からのウイルスフリー化手法として茎頂培養法がありましたが、時間と労力がかかることから実用化には至っておりませんでした。

今回開発した簡易茎頂接ぎ木法は無菌操作や特殊な施設を必要としないことから実用的で、現場への導入が容易となります。既に国内の主要な産地である鹿児島県および沖縄県(両県で生産量国内シェア約84%)において技術講習会を実施しました。

このたび、実施マニュアル及び解説動画を公開しました。以下のリンクよりご覧いただけます。

 

マニュアル:https://www.jircas.go.jp/ja/publication/manual_guideline/passion_fruit
動画:https://youtu.be/sQ26IFv2Sl0

主担当:緒方達志 熱帯・島嶼研究拠点(当時)
動画作成編集:大森圭祐 情報広報室

 

これらの情報が、今回開発した技術のパッションフルーツ生産地域への導入・普及の一助となれば幸いです。

(文責:熱帯・島嶼研究拠点 山中愼介)


 

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