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496. 「国際森林の日」と熱帯島嶼における森林利用

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496. 「国際森林の日」と熱帯島嶼における森林利用

アメリカ合衆国の第32代大統領フランクリン・ルーズベルト(1882–1945)は、「森林は私たちの国土の肺であり、空気を浄化して、人々に新鮮な力を与えてくれる。」と述べています。森林の重要性は既に世界的に認知されていますが、一方で1990年以降1.78億ヘクタールの森林が減少しました[1]

一週間後の3月21日は、「国際森林の日」[2]です。「国際森林の日」は、2012年の国際連合総会で定められました。この記念日は、あらゆる種類の森林の重要性に対して人々や社会の関心を高めるために設けられています。そして、毎年この日には、多くの国々で植林を行うなど森林や樹木への関わりを増やす活動を行ってきています。今年のテーマは「森林と持続的生産・消費」です。

森林は単に木材を生産するだけではなく、水土保全や気候変動緩和などの公益的機能を発揮し、果実やキノコなどの非木材林産物を生産する地域住民にとって重要な生活の場でもあります。我々国際農研は、2021年から開始した研究課題「熱帯島嶼における山・里・海連環による環境保全技術の開発」[3]のなかで、森林のある山地では小規模農家の生業維持と水土保全機能向上の両立が持続的に資源を利用するために重要であると認識しています。

熱帯島嶼は土地が限られており、里山、屋敷林、防風林などの環境資源も重要な森林であるといえます。また森林の公益的機能が低下した山地では、人工的に植林を行うことで森林の機能を早期に回復することが重要です。そして我々はこのような様々な樹木群の林内環境が、キノコなど非木材林産物や熱帯果樹などの生産基盤になり得ると期待しています。こうした森林の利用と保全の両立には、古来我が国の農山村において生活の基盤となった里山管理手法にヒントがあるのではないかと考えており、これまでの熱帯地域他国における森林利用の知見を併せ活用し、熱帯島嶼環境に適合できる技術開発に努めていきます。

 

参考
[1] 国際連合食糧農業機関(2020)世界森林資源評価2020:主報告書(英語)https://www.fao.org/documents/card/en/c/ca9825en/

[2] 国際連合食糧農業機関「国際森林の日」website https://www.fao.org/international-day-of-forests/en/

[3] 国際農林水産業研究員Website/研究プログラム/環境/熱帯島嶼における山・里・海連環による環境保全技術の開発【熱帯島嶼環境保全】 
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proa/a5

 


(文責:農村開発領域 竹中浩一)

 

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