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473. 地球規模の海水温上昇とその影響

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473. 地球規模の海水温上昇とその影響

気候変動関連のニュースでは北極・南極の氷河の融解が注目されますが、 地球温暖化による海洋熱波の頻度上昇は熱帯・亜熱帯地域にも大きな影響を及ぼします。

2月1日にPLOS CLIMATE誌に公表された論文は、海洋における熱波の頻発化がニューノーマルになりつつあると指摘しています。 

同じく同誌で公表された論文は、1.5℃の気温上昇で、世界のサンゴ礁のほぼすべてが危機に晒される、と警告しました。
熱帯地域は世界でも最も生物多様性が豊富な地域であり、その中でも重要なサンゴ礁は10億人近い人々の生業や観光資源としても重要な役割を果たしています。 一方、サンゴは、地球温暖化によって生じる海水温上昇の影響を最も受けやすく、サンゴの活動が低下してしまう「白化現象」の深刻化が懸念されてきました。気候変動にともなう海洋での熱波の頻発化はサンゴが白化から回復する時間が短くなることを意味します。

昨年11月のCOP26でも、パリ協定で提示された1.5℃を上限とした温室効果ガス排出削減に向けた取り組みが議論されましたが、サンゴ礁の生物多様性保全のみならず、海洋の温暖化に伴う異常現象を回避する観点からも重要な目標となります。

(参考文献)
 
Tanaka KR, Van Houtan KS (2022) The recent normalization of historical marine heat extremes. PLOS Clim 1(2): e0000007. https://doi.org/10.1371/journal.pclm.0000007

Dixon AM, Forster PM, Heron SF, Stoner AMK, Beger M (2022) Future loss of local-scale thermal refugia in coral reef ecosystems. PLOS Clim 1(2): e0000004. https://doi.org/10.1371/journal.pclm.0000004

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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