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299. 地球規模の気温上昇や氷山に関する最近の話題

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5月13日、アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開した映像は、地表の気温が1950年以来2000年までの間に上昇の傾向を示し、異常に暑い日が多く、寒い日々の頻度が少なくなっている傾向を示しました。 とくに近年は気温分布曲線が気温の高いほうに振れる傾向が見て取れます。Pick Upで紹介した記事でも、2020年は史上最も暑い年の一つであり、6年連続で記憶に残る暑さを記録したとされています。  

一方、2021年5月には、最大級の氷山が南極のウェッデル湾から乖離して漂流をはじめたことが確認されたと報道されています。A-76と名付けられた氷山は、長さ170キロメートル、幅25キロメートル、面積で4,320 平方キロメートルで、スペインのマジョルカ島に近い大きさ、パリの40倍、マンハッタンの73倍に相当し、現在漂流しているもので最大です。ちなみに、氷山は南極の象限、つぎに続き番号で命名されるそうです。研究者によると、南極周辺の比較的冷たい海にとどまる限り、18年間も漂い続ける氷山もあるが、ウェッデル湾から南大西洋に向かうと溶解も急速に進むとのことです。 実際に、2017年に南極のLarsen C棚氷から乖離した最大級の氷山A-68は、今年初めに溶解したと報道されています。

地球規模の気候変動は農業への負のインパクトをもたらすと同時に、農林業その他土地利用(Agriculture, Forestry and Other Land Use -AFOLU)は、人間活動を原因とする温室効果ガス(GHG)排出の4分の1を占めているとされています。農業において気候変動緩和と適応に貢献する科学技術の役割は大きく、国際農研は途上国の研究機関とともに技術開発を行うことで、地球規模課題の解決に取り組んでいます。

 

参考文献
NASA Watching the Land Temperature Bell Curve Heat Up (1950-2020) May 13 2021. https://climate.nasa.gov/climate_resources/266/watching-the-land-temper… 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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