研究成果情報 - 日本
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
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酸素ナノバブル⽔による湛⽔⽔⽥⼟壌の⾼酸素化とメタン⽣成抑制
(2019)
ナノバブルとは直径1 µm以下の微小気泡で、水中に長期間存在できる。純酸素を材料ガスとするナノバブルを高密度に含む水を作成し、湛水状態の土壌カラムに上部から通水すると、土壌表面付近の浅層中の酸素濃度が上昇するとともに、メタン生成が抑えられる。
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ソルガムの⽣物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌の抑制が関連する
(2019)
ソルガムが根から分泌する難水溶性の硝化抑制物質であるソルゴレオンは、生育とともに下層土に向かって新生される根から分泌され、分泌量には系統間差がある。ソルゴレオンの分泌量が多い系統の根圏土壌では、硝化活性とアンモニア酸化古細菌数がともに低下することから、ソルガムの生物的硝化抑制にはアンモニア酸化古細菌数の抑制が関連している。
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RNA⼲渉法によるバナメイエビ卵⻩形成抑制ホルモン遺伝⼦の発現抑制
(2019)
バナメイエビにおける卵黄形成抑制ホルモンの遺伝子構造を明らかにし、定量PCR法を構築することにより、体内の遺伝子発現量の変動を把握できる。また、遺伝子情報を基にRNA干渉法を用いることで卵黄形成抑制ホルモンの遺伝子発現を抑制できる。
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国内保有マンゴー遺伝資源の多様性および品種特性
(2019)
国際農研および沖縄県農業研究センターで保存されているマンゴー遺伝資源120点は、SSRマーカーによる系統および遺伝的多様性の解析により、重複を除いた83の異なる遺伝子型に区別され、育成地を反映する3つのグループに分かれる。世界各国に由来するこれらの遺伝情報および品種特性情報は、品種利用の促進や多様性比較の基盤として活用できる。
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わい性で、耐暑性に優れた食味良好なパパイヤ新品種「石垣珊瑚」
(2006)
パパイヤの新品種「石垣珊瑚」は、「ワンダーブライト」の自然交雑実生から選抜した単為結果性のある雌性系統である。耐暑性を備え、わい性で豊産性の栽培特性を持ち、果実は強い芳香があり、高糖度で食味がよい。
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パッションフルーツ冬実中の酸含量を低下させる温度管理法
(2006)
夜温15°C前後の無加温栽培におけるパッションフルーツ(品種:「サマークイーン」)の冬季収穫果実は酸含量が高い。昼温30°C、夜温25°C程度に管理する加温栽培を行うことにより、酸含量が低く糖酸比の高い果実が収穫できる。
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熱帯性・亜熱帯性魚類の必須脂肪酸組成の特性
(2003)
熱帯性・亜熱帯性海産魚の卵稚仔は、冷水性・温水性魚類と異なる必須脂肪酸組成特性を有し、アラキドン酸が重要であることが示唆された。
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石垣島宮良川における懸濁物質および窒素とリンの推定流出量
(2003)
石垣島宮良川から1年間に海洋に流出する懸濁物質、窒素、リンは、それぞれ、1882t、68t、7t と推定される。土壌浸食深は畑地当たり0.2mm、窒素とリンは施肥量と家畜排泄量合量のそれぞれ25%と6%である。
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肥効調節型肥料の施用によりサトウキビの窒素施肥量を4割節減できる
(2003)
サトウキビの春植え栽培において、慣行栽培の追肥窒素分を肥効調節型肥料で施用すると、窒素施肥量を4割節減しても可製糖量は減収しない。また、肥料の利用効率が高くなり、未利用分が慣行より著しく少なくなる。
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カンキツグリーニング病を媒介するミカンキジラミの分布はゲッキツの分布と一致する
(2001)
カンキツグリーニング病を媒介するミカンキジラミは、ミカン科のゲッキツが分布する奄美大島以南の南西諸島において恒常的に発生しているので、カンキツグリーニング病が未発生のこれらの島々では、本病の侵入に対する警戒が必要である。
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日本在来小麦と中国育成小麦の赤かび病抵抗性遺伝子の比較と集積
(2000)
小麦赤かび病抵抗性品種の延岡坊主小麦(日本在来)と蘇麦3号(中国育成)との雑種F1に由来する半数体倍加系統を用い、関与する抵抗性遺伝子の数が推定され、両品種のもつ抵抗性遺伝子を集積した系統が作出できる。
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亜熱帯地域の降雨エネルギーおよび雨滴粒径分布の特性
(1999)
マイクロフォン型雨滴粒径測定装置による降雨エネルギー値算定法を用いると、石垣島(亜熱帯)とつくばの実測値はWischmeier式(降雨エネルギー式)を上限に三原式を下限に幅広い分布を示す。石垣島では弱い降雨強度でWischmeier式を超える過大領域が存在する。
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短日による日本稲の部分不稔の発生とその要因
(1998)
石垣島の水稲二期作および三期作において「日本晴」よりも晩生の多くの品種で部分不稔が発生する。この不稔は短日条件により葯が短縮し花粉数が減少するため生じるとみられる。
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糸状菌の一種に感染した暖地型イネ科牧野草の害虫に対する摂食阻害作用
(1998)
石垣島において、暖地型イネ科植物15草種において糸状菌の1種 Ephelis sp.の感染が確認された。これらの車種のうちパンゴラグラスにおいては、アワヨトウ幼虫およびマダラバッタ成虫が感染葉よりも非感染葉をより好んで摂食した。