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221. レジリエンス指標の向上を目指して

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SDGsやパリ協定などのハイレベル政策イニシアチブを含め、持続性議論・開発アジェンダの間でも、レジリエンス(強靭性)は最重要課題になりつつあります。COVID-19パンデミックの渦中、世界中で数十億ドルもの投資資金がレジリエンス課題につぎ込まれる中、政策優先事項の決定過程において、信頼に足るレジリエンス指標が求められています。

2021年1月、Nature Sustainability誌にて、レジリエンス指標の向上を呼び掛ける論考が発表されました。 以下、抽象的な議論ではありますが、概要を紹介します。

レジリエンスは異なる学問領域で異なる解釈や定義があり、概念的・手法的に測定が難しいものです。エビデンスを積み上げるには、精密で正確で正当化されうる代表的指標が必要となります。そのための指標は、(1) ショックに対する様々なインパクトについての理解を深めること、(2)中心にウェルビーイング(Well-being)を据えること、 (3)ショックに対してウェルビーイングを維持するキャパシティを同定すること、(4)レジリエンスの地域格差を説明する地域・状況(コンテクスト)固有の要因を把握すること、を満たす必要があります。

レジリエンスの測定はデータ集約的ですが、リモートデータ収集や衛星データの活用が期待されます。例えばミャンマーでは、洪水に対する世帯のレジリエンスを捉える上で、携帯を通じてパネルデータが収集されました。同様に、COVID-19インパクト調査において、世界中で携帯電話データが用いられました。人々によるリスクへの対応能力について洞察する際に、レジリエンス指標を分析ツールとして意思決定に活用していくべきです。

介入の効果を決定する上で因果関係の確立は非常に重要です。多くのインパクト評価は未だに因果関係をコントロールすることに成功していませんが、ランダム化実験をはじめとする反事実アプローチへの期待が高まっています。同時に、状況毎に異なるレジリエンスの性質を理解する上で、質的手法も重要な意味を持ちます。開発関係者は、レジリエンスを測定し理解するために、量・質双方の分析を含むインパクト評価を支援すべきです。


参考文献

Jones, L., A. Constas, M., Matthews, N. et al. Advancing resilience measurement. Nat Sustain (2021). https://doi.org/10.1038/s41893-020-00642-x

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)