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143. 0.5℃の追加的温暖化は世界の乾燥化に大きな影響をもたらしうる

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気候変動による乾燥・干ばつの頻度増加は世界的な懸念事項です。しかし、気温上昇率を1.5℃あるいは2℃以内に抑制するという温暖化水準に応じたリスク評価の研究はこれまで殆どありませんでした。

2020年9月15日、Environmental Research Letters誌にて、東京大学研究者らが論文を発表、産業化以前からの気温上昇を1.5℃あるいは2℃以内に抑制するかにより、温暖化による世界的な乾燥・干ばつ状況への影響度が異なりうることを示しました。分析の結果、気温上昇が2℃の場合、アマゾン河川敷、ヨーロッパ西部、アフリカ南部において乾燥状態の頻度が増加しますが、1.5℃に抑制することで異常乾燥年の頻度を抑制することが可能であることを示唆しました。アジアの広範な地域では、1.5℃、2℃双方の温暖化シナリオの下で次第に湿潤化することが予測されています。オーストラリアを含む幾つかの地域では、2℃以下の温暖化で乾燥化が強まるのとは対照的に2℃の温暖化で湿潤状態へのシフトが予測されるなど、非線形的な乾燥状態へのシフトが生じる可能性があります。本研究は、0.5℃の追加的な温暖化現象を組み込むうえで、世界的な温暖化に対する地域の降雨パターンの反応が非線形的な影響をもたらす点について、より慎重に評価されるべきとしています。

 

参考文献

Akira Takeshima et al, Global aridity changes due to differences in surface energy and water balance between 1.5 °C and 2 °C warming, Environmental Research Letters (2020). DOI: 10.1088/1748-9326/ab9db3 https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/ab9db3

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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