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111. Food Security誌 COVID-19特集号:フードシステムの分断と強靭性メカニズムのマッピング

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2020年8月4日、Food Security誌は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の展開に触発された特集号を組み、編集委員会はローカル及びグローバルにフードシステムを分断させ食料安全保障を脅かす危機についての論考「フードシステムの分断と強靭性メカニズムのマッピングMapping disruption and resilience mechanisms in food systems.」を発表しました。

現在の世界的なパンデミックは、保健・医療危機にとどまらず、ローカル及びグローバルレベルでフードシステムに影響を与えています。危機がもたらしうる最大の懸念の一つは、農業が依拠する物質・非物質的インフラの破綻が、食料生産供給能力に及ぼしかねない影響です。COVID-19危機は、手付かずであった農業・グローバルフードシステムの抜本的な転換を促す契機となるかもしれません。「飢餓のパンデミック」が懸念されるように、飢餓人口の増加からも、グローバルフードシステムがうまく機能していないことは明らかです。食料は栄養源であるべきなのに、不健康な食生活は今日主要な死因の一つでもあります。世界的なパンデミックにおいて感染症に対する免疫への関心が高まる今日、健康な食生活の重要性はこれまで以上に高まっています。一方で、グローバルフードシステムは、地球システムの持続性の限界値を超えて危険な域に追いやっているというエビデンスも集まっています。過去20年間の食料増大は、科学研究成果を通じた農業生産性上昇を達成したそれ以前の20年間と比較しても、地球の自然環境の破壊を伴うものでした。グローバルフードシステムの環境負荷のフットプリントを早急に削減することにもし失敗すれば、近い将来、フードシステム自身が食料危機をもたらしかねません。本論考は、フードシステム強靭性強化のための短・中・長期的な政策を提言します。

 

参考文献

Savary, S., Akter, S., Almekinders, C. et al. Mapping disruption and resilience mechanisms in food systems. Food Sec. 12, 695–717 (2020). https://doi.org/10.1007/s12571-020-01093-0

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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