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57. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界銀行2020年6月 世界経済見通し

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2020年6月2日、世界銀行は「2020年6月 世界経済見通しGlobal Economic Prospects, June 2020」について、6月8日の完全版発行を前に、分析章の抜粋を公表しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界経済、とりわけ新興市場途上国経済(emerging market and developing economies EDMEs)に大きな打撃を与えています。EDMEsは、医療制度が脆弱である一方、世界貿易・観光・海外からの送金に過度に依存しています。今回の危機では、商品輸出に依存する国々が最大の打撃を受けています。その影響は、最悪の医療危機を脱していった後も、残響のように経済に負の効果をもたらしかねません。これら負の効果は、生産性の弱化、投資の落ち込み、ビジネスや学級閉鎖による物的・人的資本の損失、グローバル・サプライ・チェーンの寸断、を波及経路として、パンデミック後も影響を引きずりかねず、完全雇用維持に欠かせない潜在的な経済生産力に影響を及ぼします。既に顕在化していた脆弱性、人口増による配当の減退、構造的な隘路が、パンデミックによる不況のダメージを長期的に増幅しかねません。

医療危機対応と最小限公的サービス保証のための短期的対策は、ガバナンスやビジネス環境向上を含む長期的成長や教育・公的保険サービスへの投資拡大を促進する政策とともに併用されなければなりません。将来の経済を強靭なものにするためには、ポスト・パンデミック時代に新たな雇用・ビジネス・ガバナンスシステムを創出するためのニーズを反映した政策を通じ、復興期に人的・物理的資本を確保するシステムが必要です。

 

参考文献

World Bank. 2020. Global Economic Prospects, June 2020. Washington, DC: World Bank. © World Bank. https://openknowledge.worldbank.org/handle/10986/33748

World Bank. PRESS RELEASE JUNE 2, 2020 Countries Can Take Steps Now to Rebuild from COVID-19  https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2020/06/02/countries-can-take-steps-now-to-speed-recovery-from-covid-19

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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