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1576. 主要な温室効果ガスの世界平均濃度、2025年も過去最高を更新
1576. 主要な温室効果ガスの世界平均濃度、2025年も過去最高を更新
世界気象機関(WMO)は2026年10月27日、「温室効果ガス年報」第22号を公表し、2025年の大気中の二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)の世界平均濃度が、いずれも観測史上最高を更新したと発表しました。CO₂は426.8 ppm、CH₄は1,948 ppb、N₂Oは339.1 ppbとなり、産業革命前の基準とする1750年の水準に対して、それぞれ153%、267%、126%に達しました。なお、ppmは100万分の1、ppbは10億分の1を表す単位です。
以下では、WMOの年報などに基づき、各ガスの特徴と今回の観測結果を紹介します。ここで示す濃度は、大気中に存在するガスの割合であり、年間の排出量とは異なります。
二酸化炭素:前年から2.8 ppm上昇
CO₂は、長寿命温室効果ガスによる温暖化効果の約66%を占め、最も大きく寄与しています。人為起源の主な排出源は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の燃焼です。セメント生産や、森林減少などの土地利用変化も排出源となっています。WMO年報によると、2025年の世界平均濃度は426.8±0.2 ppmで、前年から2.8 ppm上昇しました。WMOは、CO₂は大気中に長く残るため、現在の排出は数十年から数世紀にわたって気候に影響すると説明しています。
メタン:自然起源と人為起源の双方から排出
CH₄は、長寿命温室効果ガスによる温暖化効果の約16%を占めます。WMOによると、排出量の約35%は湿地などの自然起源、約65%は人為起源です。農業分野では畜産や稲作が主要な排出源であり、このほか、化石燃料の採掘・利用、廃棄物の埋め立て、バイオマス燃焼なども排出源となっています。2025年の世界平均濃度は1,948±2 ppbで、前年から6 ppb増加しました。また、WMO年報は、2023年半ばから2024年末に観測されたメタンの炭素安定同位体比の異常について、北米やアマゾンでの大規模火災に伴うバイオマス燃焼由来の排出増加と、高温・乾燥条件下にあった地域での湿地由来の排出のわずかな減少が、最も可能性の高い原因であるとの見解を示しています。ただし、年報では、この異常を引き起こした可能性のあるメタン排出源の変化については暫定的な見解であるとし、湿地由来の排出減少については、2023~2024年に高温・乾燥条件下にあった地域での変化として説明しています。
一酸化二窒素:肥料利用などの人間活動も排出に関係
N₂Oは、長寿命温室効果ガスによる温暖化効果の約6%を占め、CO₂、CH₄に次いで3番目に大きく寄与しています。海洋や土壌から自然に放出されるほか、人間活動によっても排出され、人為起源では農地への窒素肥料の投入が主な排出要因となっています。WMO年報によると、世界の人為起源のN₂O排出量は過去40年間で30%増加し、大気中濃度の上昇の主因となっています。2025年の世界平均濃度は339.1±0.1 ppbで、前年から1.1 ppb上昇しました。
関連する国際農研の取組
ここまで紹介したWMOの報告に関連する分野で、国際農研も研究に取り組んでいます。国際農研は、持続的な食料増産と温室効果ガス排出削減の両立に向け、アジア・アフリカの関係機関と連携し、水田からのメタン排出削減、バイオマスをめぐる課題への対応、生物学的な仕組みを活用した窒素利用効率の向上などに関する研究を進めています。
参考文献:
World Meteorological Organization (2026), Greenhouse gas levels once again reach record high, 27 October 2026.
World Meteorological Organization (2026), WMO Greenhouse Gas Bulletin No. 22: The State of Greenhouse Gases in the Atmosphere Based on Global Observations through 2025, 27 October 2026.
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)