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1531. 東南アジア連絡拠点だより:キャッサバ育種の課題解決に向けた取り組み

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1531. 東南アジア連絡拠点だより:キャッサバ育種の課題解決に向けた取り組み

 

キャッサバは、世界的にジャガイモやサツマイモと並ぶ重要な芋作物です。熱帯・亜熱帯地域ではおよそ8億人の食料となっており、近年ではキャッサバのイモから作られるでん粉は食品・工業用に利用されています。キャッサバ由来のタピオカ粉は無味無臭で透明性があり、独特の粘りと弾力を有する食感を特徴としています。日本においても、タピオカ飲料をはじめ、冷凍うどん等の麺類のコシや粘り、コンビニやドーナッツ店で販売されているポンデケージョやそれに類するパンの食感改良など、さまざまな食品に利用されています。さらに、製紙や接着剤、バイオエタノール等の原料としても利用される工業用でん粉でもあります。このキャッサバは、日本国内でほとんど栽培されておらず、主に東南アジアからの輸入に依存しています(徳永 2024)。

農畜産業振興機構によれば、タイにおけるキャッサバはコメやサトウキビに次ぐ重要農産物です。タイは世界でも有数の生産国であり、年間生産量はおおむね3,000万トン規模に達し、その多くがでん粉、飼料、バイオエタノール原料等に利用されています。近年はキャッサバモザイク病の拡大や気候変動の影響により、生産の不安定化が課題となっており、抵抗性品種の開発や生産性向上技術の確立が重要視されています。

タイ東部ラヨーン県に位置するラヨーン畑作物研究センター(Rayong Field Crops Research Center: RYFCRC)は、タイ農業局(DOA)に属する研究機関であり、キャッサバを中心とした畑作物の研究・育種・技術普及の中核拠点です。同センターでは1970年代よりキャッサバ育種が本格的に進められ、これまでに「Rayong 1」「Rayong 5」「Rayong 60」など、多くの主要品種が開発されています。現在も遺伝資源の保存、品種改良、組織培養、病害抵抗性の研究などが行われています。

キャッサバは、種子を播いて栽培するのではなく、茎の一部を土に植えて生育させます。このため、現在栽培されているキャッサバの中には開花しない、あるいは開花しにくい品種も多く存在します。新たな品種を開発するためには交配が不可欠であり、開花が重要な要素となるため、育種を行う上での課題となっています。こうした課題に対応するため、RYFCRCと国際農研(JIRCAS)は、植物ホルモン処理、夜間電照、接ぎ木などを含む複数の手法を活用し、キャッサバの開花促進および開花時期の調節技術の開発に共同で取り組む予定です。

 

(参照)
農畜産業振興機構:タイのキャッサバをめぐる情勢~生産量維持に向けた取り組みと課題~https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_003423.html
徳永浩樹 (2024) 東南アジアにおけるキャッサバ栽培~現状分析と国際共同研究の展望~
いも類振興情報  (Japan Sweetpotato & Potato Quarterly) 160号 p. 37-43

(文責:東南アジア連絡拠点 金森紀仁)

 

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