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1521. 東南アジア連絡拠点だより:タイ・ラヨーン県産ドリアンのGI登録と品質向上技術

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1521. 東南アジア連絡拠点だより:タイ・ラヨーン県産ドリアンのGI登録と品質向上技術

 

前回のPick Upでは、タイ東部ラヨーン県ドリアン生産農家の視察についてと同地域のドリアン生産の特徴を整理しました。

https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20260604

今回はその続きをお伝えします。

 

タイ東部ラヨーン県産のドリアンは、地域の地理的特性に根ざした高い品質が評価され、タイの地理的表示(GI: Geographical Indication)として「モントーン・ラヨーン・ドリアン(Monthong Rayong Durian)」の名称で登録されています。これにより、地域ブランドとしての保護と活用が進められています。

近年、ラヨーン県では、こうしたGI登録ブランドの強みを一層高めるため、科学技術の導入による品質向上の取り組みが進展しています。その代表例が、タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)傘下の研究機関である国立金属材料技術研究センター(MTEC)が開発した果実被覆資材「Magik Growth」です。MTECによれば、Magik Growthは単なる防虫袋ではなく、非織布素材を用いて水や空気を透過させつつ、光の波長を選択的に制御する機能を備えています。特に赤色光の波長のみ透過させる設計されており、光合成効率や糖の蓄積、果実の成熟過程を最適化することで、果肉の色や食味の向上につながるとされています。MTECの試験結果では、果実重量が約10%増加し、果皮が薄くなるといった効果も確認されています。Magik Growthは、2022年から企業へのライセンス供与を経て、商業生産・販売が開始されており、タイ農業普及局(DOAE)も普及活動を展開しています。今回視察した3戸の農家のうち1戸で実際に採用されていることも確認しました。

 

また、Magik Growthで果実を覆うことにより病害虫の侵入を防ぐ効果もあり、農薬使用量の削減にも寄与しているとのことです。輸出において重要となる残留農薬規制への対応という観点からも、大きな利点があると考えられます。

 

タイ全体では、GI認証を受けたドリアンの品目数が年々増加しており、現在では複数地域のドリアンが登録されています。タイ知的財産局が公表した2025年のGI認証品の収益ランキングによれば、トラート県産の「モントーン・カオバンタット・ドリアン」が年間売上高で約110億4700万バーツを記録して首位となり、今回視察したラヨーン県の「モントーン・ラヨーン・ドリアン」も48億8600万バーツで第3位となっています。トップ10のうちドリアン関連品目が4品目を占めており、国内外の消費者から引き続き高い人気を集めていることがうかがえます。

 

今回のラヨーン県でのドリアン視察を通じて、地域ブランド(GI)の確立と灌漑や被覆資材などの技術導入を組み合わせることで、単なる農産物の生産にとどまらず、収量・品質・安全性の向上が同時に実現されつつあることを実感しました。

 

順位

GI商品名

地域(県)

種類

収益(億バーツ)

1位

モントーン・カオバンタット・ドリアン

トラート

ドリアン

110.47

2位

サデートナム・ドリアン

ヤラー

ドリアン

66.61

3位

モントーン・ラヨーン・ドリアン

ラヨーン

ドリアン

48.86

4位

火山土壌ジャスミンライス

ブリーラム

米

48.12

5位

タプサケー・ココナッツ

プラチュアップキリカン

ココナッツ

37.76

6位

プレの地酒

プレ

酒類

36.32

7位

ペッチャブーン・スイートタマリンド

ペッチャブーン

タマリンド

33.63

8位

シーサケート・シャロット(小玉ねぎ)

シーサケート

野菜

28.82

9位

バンパーエ・大型淡水エビ

ラチャブリー

エビ

25.7

10位

バンナラ・ドリアン

ナラティワート

ドリアン

25.44

 

(参照)
NSTDA: Fruit wrapping bag Magik Growth offers better quality durian and reduces pesticide use
MTEC (2022) Annual Report
タイ知的財産局(2025)売上高に基づいたタイの地理的表示(GI)製品トップ10を公表(タイ語のみ)

文責:東南アジア連絡拠点 金森紀仁
 
 

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