Pick Up
1517. 大気中CO₂濃度が432ppmに到達、観測史上最高水準を更新
1517. 大気中CO₂濃度が432ppmに到達、観測史上最高水準を更新
米カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所は、2026年5月のハワイ・マウナロア観測所における大気中の二酸化炭素(CO₂)濃度(月平均値)が432ppmに達したと発表しました。これは前年同月の430.2ppmから1.8ppmの上昇に相当し、長期的な増加傾向が継続していることを示しています。また、米国海洋大気庁(NOAA)による独立した観測でも、同月の平均値は432.3ppmと報告されており、両機関の観測結果は整合しています。
スクリプスCO₂プログラムのディレクターであるラルフ・キーリング氏は、「大気中のCO₂濃度は増加を続けており、私たちはより高濃度のCO₂環境へと進んでいる」と述べています(スクリプス海洋研究所発表)。
マウナロア観測所はハワイ島の標高約3,400mに位置し、北半球の広域的な大気状態を代表する世界的な基準観測地点の一つとして知られています。この観測は1958年にチャールズ・デイビッド・キーリングによって開始され、当時のCO₂濃度は313ppmでした。本観測データは、季節変動と長期的な増加を示す「キーリング曲線」として広く知られています。マウナロアの観測データは、他の全球観測網とともにNOAAの温室効果ガス参照ネットワークに組み込まれており、気候変動研究や政策立案における基礎データとして重要な役割を果たしています。
CO₂濃度は、主に北半球の植物活動の影響により、春から夏にかけて低下し、秋から冬にかけて上昇する季節変動を示します。一方で、年々の平均値は一貫して増加しており、長期的な上昇傾向が明確に確認されています。NOAAも1974年以降、独立した観測を継続しており、マウナロアのデータは長期気象観測における重要な基盤データセットの一つと位置付けられています。
なお、2022年11月のマウナロア火山の噴火により観測所へのアクセスに一時的な影響が生じましたが、代替観測やヘリコプターによる機器設置によりデータ取得は継続され、その後アクセスも回復しています(NOAA等の公表情報に基づく)。
CO₂は主要な温室効果ガスの一つであり、大気中において赤外線を吸収・再放射することで地表付近の気温上昇を引き起こします。この影響により、熱波、干ばつ、森林火災などの極端現象の頻度や強度の変化、降水パターンの変化や洪水リスクの増大などが指摘されています。また、海洋に吸収されたCO₂は海水の酸性化を引き起こし、サンゴや貝類などへの影響が懸念されています(IPCC等の評価報告書に基づく知見)。
以上のような観測結果および既存の科学的知見を踏まえると、大気中CO₂濃度の上昇は依然として継続していることを改めて示されています。温暖化対策の遅れは将来的なリスクを一層高める可能性があり、今後もこの長期トレンドの動向を注視しつつ、排出削減に向けた取り組みの強化が求められています。
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)