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1497. NOAA、エルニーニョ発生の可能性高まると発表

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1497. NOAAがエルニーニョ発生の可能性上昇を指摘

 

米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)は、2026年5月14日付けでENSO(エルニーニョ・南方振動)に関する最新見通しを公表し、「El Niño Watch(エルニーニョ監視)」を発出しました。

同報告によれば、2026年夏季(5~7月)にエルニーニョが発生する可能性が高まっているとされ、発生確率は82%と見積もられています。また、発生した場合には2026/27年冬まで継続する可能性が高く、その確率は96%とされています。ただし、これらはあくまで確率予測であり、今後の大気・海洋の相互作用の進展により変動し得る点に留意が必要です。

NOAAの観測では、現在、赤道太平洋の中部から東部にかけて海面水温が平年より高い状態が続いています。また、海洋内部においても広範囲で高温偏差が確認されており、地下の暖水の蓄積が進行していることが示されています。これらはエルニーニョ発達に先行してみられる典型的な特徴です。

一方で、NOAAは現時点において、大気と海洋の結びつき(ocean-atmosphere coupling)はまだ十分に確立していないと評価しており、ENSOの状態区分としては引き続き「ENSO-neutral(平常状態)」にあるとしています。すなわち、海洋側のシグナルは強まりつつあるものの、エルニーニョとして確立した状態には至っていない段階です。

また、今回の見通しでは、エルニーニョの「発生可能性」と「強度」は別の不確実性を伴う要素であることが示されています。NOAAは、強度に関しては依然として幅広いシナリオが存在するとしており、特に「非常に強い(very strong)」事象となる可能性については限定的であるとの見方を示しています。

さらにNOAAは、過去の強いエルニーニョ事例では、夏季を通じて海洋と大気の強い結合が持続していた点を指摘し、2026年に同様の結合が形成されるかが今後の重要な判断材料になるとしています。

今回の「El Niño Watch」は、今後数か月の気候変動リスクを考える上で重要なシグナルといえます。エルニーニョは全球の降水・気温パターンに影響を及ぼし、地域によっては干ばつや洪水、農業生産への影響をもたらすことが知られています。ただし、NOAAも指摘している通り、エルニーニョの強度と各地域への影響の大きさは必ずしも一致しません。実際の影響は、季節進行や大気循環の状態との相互作用によって大きく変わります。このため、農業、水資源、防災分野においては、単一の予測に依存するのではなく、今後のENSO動向を継続的に監視しながら段階的に対応を検討していくことが重要です。

 

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

 

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