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1484. 海洋熱波と急発達が相乗し、世界の熱帯低気圧の破壊力を増幅させる

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1484. 海洋熱波と急発達が相乗し、世界の熱帯低気圧の破壊力を増幅させる

 

熱帯低気圧(台風やハリケーン)は、世界でもっとも深刻な自然災害の一つであり、甚大な経済損失と人命・インフラへの深刻な被害をもたらしてきました。近年、長期間にわたり海水温が異常に高くなる「海洋熱波(Marine Heat Wave:MHW)」が頻発しており、世界で上陸する熱帯低気圧の約52%が、この海洋熱波の影響を受けています。

Science Advancesで公表された研究では、過去40年以上にわたる全球データを用いて、海洋熱波の上を通過しながら急速に発達(Rapid Intensification:RI)した熱帯低気圧が、そうでないものと比べて約60%多く“10億ドル規模”の災害を引き起こしていることを明らかにしました。これらの嵐は、最大風速、高潮、降水量のいずれにおいても一貫して高い値を示していました。

さらに沿岸地域の開発状況が同程度である場合でも、海洋熱波の影響を受けた熱帯低気圧の方が、明らかに大きな経済被害をもたらすことが確認されました。これは、被災地の条件だけでなく、嵐そのものの強度が被害を増幅していることを意味します。

海洋熱波が今後さらに増加する中で、熱帯低気圧はより強力になり、10億ドル規模の災害は今後ますます頻発する可能性があります。本研究は、防災体制や早期警戒の強化が急務であることを強く示しています。

 

(参考文献)
Radfar S et al. Synergistic impact of marine heat waves and rapid intensification exacerbates tropical cyclone destructive power worldwide. Science Advances  https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adu1733

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

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