Pick Up
1439. 米国における温室効果ガス排出規制撤回の意味
1439. 米国における温室効果ガス排出規制緩和の意味
世界最大の温室効果ガス排出国の一つある米国にて、2026年2月12日、米国環境保護庁(EPA)は、長年の科学的検討を経て確立した「危険性認定」を覆す最終決定をし、同時に、小型車・中型車・大型車の排出ガス基準も撤廃したことが伝えられています。世界資源研究所(World Resources Institute (WRI))の記事が、今回の規制撤回の意味について解説しています。
2009年、EPAは長年にわたる広範な科学的検討を経て、温室効果ガスの排出が公衆衛生と福祉を危険にさらしていると正式に認定しました。この「危険性認定(Endangerment Finding)」は、EPA自身の専門家、米国科学・工学・医学アカデミー、そして科学界からの圧倒的な証拠に基づいており、化石燃料の採掘と燃焼に伴う米国の温室効果ガス排出が地球規模の気候変動を引き起こし、人々に害を及ぼしていることを示しています。 EPAによる温室効果ガスについてのこの判断が、車両、産業、発電所からの排出ガス規制や、EPAの権限に基づく公衆衛生問題としての気候変動の取り扱いに関する連邦気候政策の法的根拠となりました。
EPAは今回、危険度判定の根拠となった科学的証拠と法的解釈は誤りであり、撤回されなければならないとする規則を発布しました。これは大気汚染に関するすべての規制を撤回するものではなく、EPAは依然として亜酸化窒素やオゾンなどの汚染物質を規制しています。しかし、今回の撤回は、化石燃料の採掘と燃焼から発生する温室効果ガスを規制するための法的根拠を対象としています。
その影響は広範囲にわたります。危険性認定がなければ、温室効果ガスの排出規制はもはや法的要件ではなくなります。WRIは、排出量削減のための連邦政府の行動がなければ、気候変動の影響はますます深刻化するとし、生育条件の変化や、干ばつ、猛暑、極寒といった異常気象の頻度増加によって食料生産に影響を及ぼすだけでなく、気候災害の頻繁化と深刻化に伴う保険料やインフラ修復・緊急対応等コストの上昇をもたらす可能性を指摘しています。
WRIの記事は、米国が科学から遠ざかることで、米国の環境政策や公衆衛生政策が弱まるだけではなく、貿易や金融から産業競争力、国家安全保障に至るあらゆる問題において、米国のリーダーシップを脅かすことになると警鐘をならしています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)