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1352. 連続した猛暑の世界食料生産への脅威

1352. 連続した猛暑の世界食料生産への脅威
温暖化に伴い、極端な気象現象は連続して発生するケースが増えています。Environmental Research Letters誌に掲載された研究は、このような連続した猛暑が世界の食料生産に深刻な脅威をもたらすことを示しました。
論文は、特に大豆とトウモロコシにおいて、初期の温暖な気候は作物の収量ポテンシャルを向上させる一方、初期の気温が平均的な年と比較して、その後の熱波の影響を5%~55%増加させることを示しました。この収量感受性の増加の影響は、中間期の気温偏差が0.7℃~5℃を超える場合(作物によって異なります)、初期の熱波による恩恵を上回ります。
温室効果ガス排出が多いシナリオの下では、今世紀末までに、作物の生育段階の初期と中期における連続的な熱波を経験する確率が10倍に増加する可能性が予測されています。シーズン初期と中期の温暖化の相互作用を考慮すると、気温に関連した作物の収量損失は、作物と地域によって異なりますが、2%~44%増加すると予測され、温かい春の潜在的メリットを相殺すると予測されます。これらの結果は、連続的な極端熱波が食料システムにもたらす新たな非線形リスクを強調しています。
一方、地球温暖化を1.5℃に抑えることで、予測される損失はわずか1~6%に減少し、被害の大部分を回避できる可能性があります。本研究は、ますます複雑化する気候リスクによる社会への影響を回避するためも食料システムのレジリエンスを強化し、複合的な気候変動を考慮する必要性を浮き彫りにしました。
(参考文献)
Hamed, R., Steinmann, C.B., Ma, Q., Balanzategui, D., Broadman, E., Lesk, C., Kornhuber, K. (2025). Amplified agricultural impacts from more frequent and intense sequential heat events. Environmental Research Letters DOI: https://doi.org/10.1088/1748-9326/ae06b8
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)