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1238. 地球温暖化によって海面熱波の持続期間が増加

1238. 地球温暖化によって海面熱波の持続期間が増加
海洋熱波は、海洋生物に深刻な影響を及ぼす、温暖な海水が持続的に続く極端な気候現象です。これらの現象は、人為的な地球温暖化を受けて、より激しく、より長く、より頻繁に発生しています。
4月14日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に公表された論文は、地球温暖化が海洋熱波に及ぼす影響について、包括的かつ定量的な評価を行いました。そのために、1940年以降に観測された世界の海面水温の、長期的な地球温暖化の影響を受けない定常気候に相当する反事実的バージョンを構築し、それを用いて、地球温暖化が海洋熱波の強度と持続性に及ぼす影響を計算しました。
その結果は、これらの極端な現象のほぼ半数が地球温暖化によるものであり、世界平均では、海洋が極端な表面熱状態を経験する年間日数が3倍に増加していることを示しました。また、地球温暖化は、これらの現象の最大強度を1℃上昇させる原因となっていることも示しました。また、1940年代には年間わずか15日しかなかった極度の海洋熱波が、現在では50日にまで急増し、インド洋の一部の地域では年間最大80日にも達していることも明らかになりました。
研究チームは、海洋熱波は海水温の上昇に加えて発生していると指摘しています。温室効果ガスによって閉じ込められた余分な熱の約90%は海洋に吸収されているからです。彼らは、地球温暖化のさらなる進行を防ぐために、温室効果ガスの排出量を削減することが唯一の解決策だと提言しています。
この研究結果は、人為的な地球温暖化が海洋熱波に及ぼす有害な影響を浮き彫りにしています。この研究は、海洋生態系に対するこれらの脅威に対処するための緩和および適応戦略の必要性を支持しています。
(参考文献)
Marta Marcos et al, Global warming drives a threefold increase in persistence and 1 ° C rise in intensity of marine heatwaves, Proceedings of the National Academy of Sciences (2025). https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2413505122
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)