Pick Up
1027. 最近の食料価格推移の背景

1027. 最近の食料価格推移の背景
世界銀行エコノミストらは、5月24日付のブログにて、最近の食料価格下落の背景に、世界食料供給見通しの改善があると指摘しました。
世界銀行の食料価格指標は2024年第一四半期に4%下落しました。小麦・メイズ価格は主要輸出国による生産増や次期収穫見込みを受け2024年最初の4か月に3年ぶりの安値を付けました。2023年第4四半期から2024年年初に高騰していたコメ価格も、主要輸出国通貨の対米ドル安、高価格を受けた需要低迷、季節的な供給増、といった要因を反映して落ち着きを取り戻しています。同様に、ダイズに関して、ブラジルでの記録的な生産、アルゼンチンでの生産倍増、中国の需要低迷を受け、食用油・飼料価格指標は2024年第一四半期に5%下落しました。
穀物供給は2年連続、油糧作物生産も3年連続で記録的な水準を記録しています。一方需要の高さを反映し、過去4年間のトレンドにそって商品作物の在庫は微減することが予測されていますが、現在の在庫率は26.9%と、2019年の30.2%よりは低いものの、2007年に記録した史上最低水準の17.3%よりは高い水準を維持しています。
こうした背景を受け、世界銀行の食料指標は、2024年に6%、2025年に4%下落する見込みです。一方で、ブログは、こうした見通しに対するリスク要因として、気象(とりわけ今後のラニーニャ現象の影響)、地政学的紛争(エネルギー・肥料価格に影響)、そして海上航路の寸断(輸送費上昇)、を挙げています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)