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748. 最近の食料価格インフレと肥料問題

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748. 最近の価格食料インフレと肥料問題

3月も末となり、令和4年度も終わりをむかえます。この1年間、世界の食料安全保障の脅威となった出来事の一つとして、2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻に伴う世界食料サプライチェーン寸断への懸念があげられます。2022年3-5月にかけ、世界食料価格・エネルギー価格・肥料価格指標は史上最高水準まで高騰しました。

世界銀行が3月27日にアップデートした情報によると、最近国際価格は落ち着いてはいるものの、世界各国で食料価格のインフレが続き、2022年10月から2023年2月の期間、ほぼ全ての低所得・中所得国で5%以上の食料価格のインフレが観測され、多くの国は2桁を記録しました。多くの高所得国も食料価格の高インフレを経験しています。
 

世銀のレポートはまた、肥料問題にも言及しています。ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアとベラルーシからの肥料に依存する国々は、代替輸入先を探さなければなりませんでした。大規模な輸入国であるブラジルなどは代替国を見つけられても、サブサハラアフリカの小国にとっては難しく、2022年の肥料消費の落ち込みが世界で5%と推計されているところ、南アフリカを除くサブサハラアフリカでの肥料消費は25%近く落ち込んだ可能性もあると指摘されています。肥料の高価格・低供給水準によって、多くの農民は主食作物よりも換金作物への施肥を優先する可能性もあります。

肥料問題に関しては、危機への短期的対策と長期的な産業転換のバランスをとる必要があります。とくに長期的な産業転換については、アンモニア生産のための化石燃料依存を減らすと同時に、非効率な施用慣行 - 土壌の健全性を損ね、水を過剰に使用し、気候変動に寄与してしまうような施用慣行 - を正していくことが要請されています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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