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908. COP28食料イノベーションのプライオリティ

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908. COP28食料イノベーションのプライオリティ

 

食料システムは人為的な温室効果ガス排出の3分の1に関与し、低・中所得国の農家を気候変動リスクに晒しています。
明日11月30日から12月12日にかけ、アラブ首長国連邦ドバイにおいて、国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議(COP28)が開催されます。
9月28日のプレスリリースによると、COP28議長国と気候変動・食料安全保障・農業イノベーション委員会は、気候変動対応に効果的で普及段階にある7つのイノベーション分野を選びました(COP28 Partnership announces Food Innovation Priorities for Investment and Scaling)。

以下の7つの分野は、食料システム分野の気候変動緩和に貢献するにとどまらず、何百万人もの農家の生活にポジティブな変革をもたらす可能性を秘めています。 

● 農家に対し、変わりやすくなった気象の管理や農業関連の意思決定を支援する気象予測の向上

● 追加的な費用を抑制しつつ、農家のニーズにあったタイムリーな情報を提供するデジタル農業普及サービス

● 気象ショックへの対応・極度の貧困の克服・強靭性の向上に関する世帯支援を提供する気候適応的な社会的保護プログラム

● 土地劣化の削減・収量向上・砂漠化対策に貢献するレインウォーター・ハーベスティング技術推進トレーニング

● 化学肥料生産からの温室効果ガス排出削減・農家の収量向上に貢献する微生物資材

● 家畜飼養管理・飼料添加物・ゲノム選抜の改善を通じた家畜からのメタン排出削減イノベーション

● 温室効果ガス排出削減・低コスト・高品質タンパク質源となる代替タンパク源


こうしたイノベーションへの投資は、とりわけ失敗に関するリスクを管理すれば、極めて社会的なリターンをもたらす可能性を秘めています。とりわけインパクトやコスト面での効果に関するエビデンスに支えられたようなイノベーションへの投資の効果は高く、例えば歴史的に低・中所得国の農業イノベーションへの投資に焦点をあててきたCGIARの社会的な便益費用比率は10対1、とも推計されています。
COP28の食料システム・農業アジェンダにおいては、生産・消費・貿易・強靭性といった気候変動と食料システムの絡み合った課題を取り上げ、それらに対応するための革新的なアプローチをいかに展開するかについて議論が予定されているそうです。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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