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910. COP28における重要なアジェンダ

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910. COP28における重要なアジェンダ

 

11月30日から12月12日まで、アラブ首長国連邦ドバイにおいて、COP28が開催されています。COP28はなぜ重要なのでしょうか。11月28日の国連のブログから引用します。

COP(コップ)とは、締約国会議(Conference of the Parties)の略で、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のCOPは、気候変動という国境のない地球規模の問題解決のために加盟国の最高決定機関として位置付けられ、毎年開催されることになっています。UNFCCC-COPは気候システムに対する危険な人為的干渉を回避する目的で1994年に発効し、現在198か国・機関が参加しています。2015年に採択されたパリ協定も、COPの下で気候変動に関する初の拘束力ある国際的な条約です。

COP28では、パリ協定の目的及び長期的な目標の達成に向けた世界全体の進捗状況を定期的に確認するグローバル・ストックテイクが実施されることになっています。パリ協定は、2020年以降も世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く、1.5度に抑えるよう努力することを謳っています。2015年のパリで示された合意については、カトヴィツェ(COP24)とグラスゴー(COP26)で計画が示され、シャルム・エル・シェイク(COP27)で実行への移行が確認されました。今回のCOP28では、締約国は、実行すべき具体策の中身に合意するだけでなく、具体策の実行方法を示していくことが求められています。

COP28では、ずばり、我々の地球の健康および人類の幸福・福祉、が議論の対象となっています。南極の海氷は史上最小値をとり、この9月の記録は例年の同時期に比べ150万平方キロメートルと、ポルトガル・スペイン・フランス・ドイツを合わせたに相当する面積分小さくなっていたと報告されています。南極で起こっていることは何千マイルも離れた地にも壊滅的な影響を及ぼすことが懸念されています。非持続的なエネルギー・土地利用によって世界は既に産業革命以前比で1.1℃温暖化していますが、このままいけば3℃の温暖化が起こりかねません。グテレス国連事務総長は、「これまで眠れる巨人と呼ばれてきた南極ですら、気候カオスによって目覚めつつある」、「人類は地獄への扉を開けてしまったかもしれない」、と発言したことが伝えられています。

気候危機を回避するには、2010年比で2030年までに温室効果ガス排出を45%削減し、2050年までにネットゼロ排出を実現し、公正かつ公平な方法で化石燃料から再生エネルギー源に移行し、気候による攪乱に対する適応・強靭性への投資を増強する必要があります。さらに、途上国が気候ファンドを確保し、COP27で合意された損失と損害ファンドを実行する上で、十分なファンドを確保する必要があります。ドバイのCOP28は、こうした課題に対する気候変動対策を野心的な実行に移すことで、気候危機の潮目を変えることを目指しています。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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