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827. 2023年7月-気候変動がなければ起こりえない強度での熱波発生

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827. 2023年7月-気候変動がなければ起こりえない強度での熱波発生

 

2023年6月の記録的な暑さに引き続き、この7月、世界各地において最高気温が更新されています。7月16日、アメリカはデスバレー、中国は北西部で、気温は50℃を超えました。

7月25日、極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attribution(WWA)は、気候変動のもとで、2023年7月に北半球で観察されているような極端な熱波が起こりやすくなっていることを報告しました。

近年、人為的な温暖化により熱波が起こる頻度が増すことは、IPCC報告書等でも予測されてきたことです。WWAは、現在の極端な熱波は、今日の気候条件の下では決して稀な出来事ではなく、アメリカやメキシコ地域では15年に一度、南欧では10年に1度、中国では5年に一度の頻度で起こりうるとします。

逆に、人為的な気候変動がなければ、現在起きている熱波は極めて稀な事象であったと考えられます。WWAによると、2023年7月に観察されている熱波は、中国では250年に一度起こるかどうかの強度で、アメリカやメキシコ地域や南欧では化石燃料の燃焼による人為的な温暖化がなければ事実上起こりえないとされます。

今後、温暖化が進めば、こうした極端な熱波はより日常的に発生するようになると予想されます。WWAは、産業革命以前と比較して2℃温暖化した世界では、より強度を増し持続する熱波が2-5年おきに発生する可能性に言及し、緊急に化石燃料使用を削減することを訴えました。また、気候変動・高齢化・都市化トレンドを鑑みて、熱波への脆弱性を克服するアクションプランの加速を呼びかけました。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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