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648. 南の島でトマト・イチゴをつくるには

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648. 南の島でトマト・イチゴをつくるには

トマトやイチゴは日本人にとっては一般的な野菜となっていますが、トマトの原産地は南米のアンデス高原、イチゴは南北のアメリカ大陸にあった野生イチゴを1700年代にオランダで掛け合わせてできた植物で、それぞれ日本とは違う環境で育ってきた植物です。日本でトマトやイチゴが一般的に食べられるようになったのは高度経済成長期の頃で、食の多様化や欧米化が進み消費量が増加しました。このときの日本と同じように、経済成長が目覚ましい東南アジアなどでも最近になってトマトやイチゴといった果菜類の需要が伸びてきています。そこで、私たちは熱帯・亜熱帯地域でも日本と同じように美味しいトマトやイチゴの栽培技術を開発するため、沖縄県の石垣島にある熱帯・島嶼研究拠点で研究を行っています。

亜熱帯地域に属する石垣島の平均気温は、最も低い1月で18.9℃、最も高い7月では29.6℃になります。トマトやイチゴを栽培するのに適した気温は15-25℃といわれています。したがって、夏の石垣島はトマトやイチゴを栽培するには暑すぎる環境だといえます。このような環境でトマトやイチゴを栽培するために、私たちは「アジアモンスーンモデル植物工場」を開発し研究を行っています。この植物工場では、植物の成長に重要な環境要因である気温や湿度、光の量、空気中の二酸化炭素(CO¬2)濃度などをセンサーを使ってモニタリングしながら、環境制御プログラムにより窓の開閉や換気扇、冷房といった制御機器をコントロールして植物の成長に適した環境に調整しています。

美味しいトマトやイチゴをたくさん収穫するためには、植物に光合成をたくさんしてもらい、糖をたくさん作ってもらう必要があります。そのためには、適度な気温と十分な光、大気中のCO2が必要となります。暑い環境の中でハウス内の気温を管理しつつ光やCO2を取り入れるために換気扇や細霧冷房、遮光カーテン、炭酸ガス施与などを上手に組み合わせることで、石垣島のような亜熱帯地域でも美味しいトマトやイチゴが生産できるようになります。

このような研究活動を様々な方に知ってもらうために、石垣島のトマト農家さんの見学やアジアモンスーンモデル植物工場に関心のあるタイやインドネシアなど海外の方々にも研究成果を紹介しています。石垣島での成果を基に東南アジアなどでも美味しいトマト、イチゴが栽培できるように研究を続けたいと思います。

 

本文と合わせ、広報JIRCAS掲載記事もご覧ください。https://www.jircas.go.jp/ja/publication/jircas/10

 

また、植物工場のある石垣島の熱帯・島嶼研究拠点にて、本日より、熱研一般公開が1週間限定でオンライン開催されます。一般公開では、サトウキビや熱帯果樹研究などのミニ講演動画、360°カメラで撮影した石垣島の農業、自然、生活・文化などの写真を配信し、子どもから大人まで楽しめる内容となっています。ぜひ、そちらの方もご覧ください。

第16回熱研一般公開の開催
開催日程:令和4年10月31日(月)~11月6日(日)
開催方法:オンライン開催(国際農研 一般公開特設サイト)
 https://www.jircas.go.jp/ja/event/2022/tarfopenhouse

(文責:熱帯・島嶼研究拠点 中山正和)