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514. グントゥール V. スバラオ 主任 研究員、TED2022にて講演

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514. グントゥール V. スバラオ 主任 研究員、TED2022にて講演

国際農研グントゥール V. スバラオ主任研究員が4月10~14日にバンクーバーで開催されるTED2022: A New Era(https://ted2022.ted.com/)に出演します。Subbarao氏の登壇は13日(水)セッション8(Regeneration:再生)になります。

スバラオ主任研究員は、これまで、熱帯牧草ブラキアリアや雑穀のソルガムの根から、作物の窒素利用効率を上昇させ、少ない窒素肥料で生産性を維持できる現象を見出し、これを制御する植物が作り出す物質を数多く発見してきました。これらの物質は、土壌微生物が窒素肥料のアンモニアを硝酸に変換することを抑制しており、硝酸による地下水汚染や農地からの温室効果ガスの発生を抑制できるため、世界中で注目されています。

植物のもつ、この現象を生物的硝化抑制(Biological Nitrification Inhibition, BNI)といい、これを活用し生産力向上と持続性を両立させることが、国際農研の主要な研究テーマの1つです。最近、世界で最も窒素肥料を使用している作物であるコムギに、野生コムギ近縁種由来の生物的硝化抑制能を持たせることに成功しました。この研究は、農林水産省「みどりの食料システム戦略」に位置付けられると共に、令和3年12月23日に農林水産省が発表した「2021年農業技術10大ニュース」にも選定されました。さらに、米国科学アカデミーより、米国科学アカデミー紀要(PNAS)の2021年の最優秀論文賞(Cozzarelli Prize)を受賞しています*。コムギと野生種の交配という技術的に困難な課題をクリアし、少ない窒素肥料で生産性を維持できるコムギ新品種を開発した点が高く評価されました。

スバラオ主任研究員は、3月28日に開催された、プリンストン大学エネルギー・環境政策研究センター(C-PREE)のセミナーにて、『Low-nitrifying agricultural systems are critical for next Green Revolution』のタイトルで講演しており、この際の動画が公開されていますので、ご興味がある方は、C-PREEウェブサイト及びYouTubeチャンネルからご視聴ください(英語のみ)。

プリンストン大学 C-PREE Bradford seminar(英語)
https://cpree.princeton.edu/events/2022/low-nitrifying-agricultural-sys…
https://www.youtube.com/watch?v=vOtTaj1N8vE


* PNASは、科学全般に関する論文を年間3,000本以上掲載しており、世界で最も引用の多い総合科学誌の一つです。2021年にPNASに掲載された6分野、合計3,476報のうち、科学的卓越性と独創性を反映した各1論文、合計6論文にのみ最優秀論文賞が授与されます。本研究は、応用生物・農業・環境科学部門での受賞となりました。

(文責:生産環境・畜産領域 グントゥール V. スバラオ主任研究員、生物資源・利用領域 吉橋忠、 情報広報室 金森紀仁)

 

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