Pick Up

477. 栄養に配慮した農業に関するシステマティックレビュー

関連プログラム
情報

 

477. 栄養に配慮した農業に関するシステマティックレビュー

栄養改善は多くのセクターにまたがる課題です。栄養改善に直接的に影響を与える介入は「栄養に特化した(nutrition-specific)介入」と呼ばれ、それに対して、間接的に影響を与える介入は「栄養に配慮した(nutrition-sensitive)介入」と呼ばれます。今回は低中所得国において、栄養に配慮した農業(nutrition-sensitive agriculture)を実施したりスケールアップしたりする際、何がどのように効果的かをまとめたレビュー論文(Prima et al. 2022, Global Food Security)をご紹介します。

本レビュー論文では、2000年以降の経験的なエビデンスを「実装研究のための統合フレームワーク(CFIR)」に基づいて系統的にレビューしました。CFIRは、実装研究の実施やデザインを評価するためのフレームワークで、潜在的な阻害要因と促進要因を体系的に評価するガイドラインを提供し、その中には5つのドメイン(介入特性、個人特性、内的設定、外的設定、プロセス)が含まれます。本論文では、選択基準を満たす85の研究が抽出され、CFIRの5つのドメインに統合されました。論文内では、栄養に配慮した農業の介入特性、内的設定、外的設定の3つのドメインについて報告されています。

結論としては、同じ要因があってもうまくいく場合もうまくいかない場合もあるとしながらも、以下のことに注意を払ってプログラムを設計することが、成功する可能性を高めるとしています。1)過去の成功と失敗から学ぶこと。 2)その地域や事情などのコンテキストに基づいた適切性と受容性。 3)設計上の制限や、予期しなかった障害に対処するプロジェクトの柔軟性。 4)ローカルな組織の強化、コミュニティのエンパワーメント、強靭性の向上。 5)支援的な政策とガバナンス。

参考文献

Di Prima, S., Wright, E. P., Sharma, I. K., Syurina, E., & Broerse, J. E. (2022). Implementation and scale-up of nutrition-sensitive agriculture in low-and middle-income countries: a systematic review of what works, what doesn't work and why. Global Food Security, 32, 100595.  https://doi.org/10.1016/j.gfs.2021.100595

CFIR Research Team-Center for Clinical Management Research (2022). Consolidated Framework for Implementation Research. https://cfirguide.org/ Accessed on February 8, 2022.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

関連するページ