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FAO「栄養に配慮した農業・食料システムの実例-介入の選択肢(Nutrition-sensitive agriculture and food systems in practice: options for intervention)」の概要

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近年、農業・食料安全保障政策やプログラムをより“栄養に配慮した”ものにしようという政治的コミットメントやセクター横断的な栄養戦略への投資が高まりつつある。

栄養に配慮した農業・食料システムとは、人々が必要とする栄養を量的・質的に充足することを目的として、入手可能で栄養に富み、文化的にも適切で安全な食の生産を、持続的手段により保障することを目指すアプローチである。栄養への配慮は、フードバリューチェーンの全てのステージ-生産(投入財の質向上を含む)・ポストハーベスト・加工・小売・消費-において、安全で栄養に富む食を提供するための意識・行動変化を必要とする。栄養に配慮した農業・食料システムは、多様で安全かつ栄養に富む食料生産に加え、保健サービスへのアクセスを叶える所得創出や、水質汚染軽減、労働節約技術の利用、等を通じ、健康状況の改善に貢献しうる。

これまで表明されている政治的意思に対し、実践に移すための能力(そして実用可能なツール)は十分であるとは言い難い。FAOによる本報告書は、農業・農村開発管轄省庁の政策立案者や開発パートナーを対象に、栄養に配慮した農業・食料政策やプログラム策定に有用な一連のFAOツールキット* の一環として、介入の選択肢を提示する。タイトルが示すように、本報告書では、栄養改善の高い効果が期待されるフードシステム・アプローチをリストアップしており、また、フードシステムにおける位置づけに応じて介入を分類している。各章は、各介入について実際にどのような栄養改善効果が期待されるのか、効果を最大化するために必要な政策・制度環境は、といった点を中心に構成され、さらに理解を深めるための文献リストも加えられている。

  • 生産
  • 農業生産の多様化と持続的な集約化
  • 栄養に配慮した畜産・水産
  • 食と栄養のための生物多様性
  • 農作物の生物学的栄養強化(Biofortification)
  • 都市近郊農業
  • 取扱い・保存・加工
  • ポストハーベストにおける食品取扱い・保存・加工
  • 栄養強化
  • トレード・マーケティング
  • 栄養のためのトレード
  • マーケティングと宣伝慣行
  • 健康的な食生活(Diet)を促進する食品価格政策
  • 食品表示(Food labelling)
  • 消費者需要・調理・嗜好
  • 栄養教育と行動変化のためのコミュニケーション
  • 栄養のための所得創出
  • 栄養に配慮した社会保護
  • 学校における食と栄養
  • 栄養に配慮した人道的食料支援
  • 分野横断的な課題
  • 栄養に配慮したバリューチェーン
  • 女性のエンパワメントとジェンダー
  • 食品廃棄物:防止・削減・マネジメント
  • 質・安全性・衛生

     

詳しい内容に関しては、報告書原文を参照のこと。http://www.fao.org/3/a-i6983e.pdf

 

* 栄養に配慮した農業・食料政策やプログラム策定の為のFAOツールキットは、以下を含む。

 

(研究コーディネーター  飯山みゆき)

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