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373. グローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)畜産研究グループ(LRG)国内ネットワーク会合の開催
373. GRA-LRG国内ネットワーク会合の開催
気候変動問題の原因とされる温室効果ガス排出について、その削減に関する国際的な協力の枠組み等を議論する気候変動枠組条約締約国会議(COP)が毎年開催されています。これまでに、COP21(2015年)で合意されたパリ協定において「地球の平均気温上昇を産業革命以前と比較して2℃未満に抑え、1.5℃未満を目指す」という具体的な目標が定められ、COP24(2018年)ではパリ協定における合意内容の着実な実施に向け、各国がそれぞれの温室効果ガス排出削減目標(NDCs)を設定することを義務付け、その結果を検証することを可能とする一連の新たなガイドライン(実施指針)が採択されています。一方で、パリ協定6条に規定される市場メカニズムを活用した国際的な協力等に関する実施細則についてはCOP24, 25において合意に至らず、11月に英国で開催されるCOP26において引き続き議論がなされる予定です。実際に地球平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるためには、2050年頃には社会経済システム全体の急速な変⾰による温室効果ガス排出を正味ゼロにする必要があることが見込まれる等、目標達成には各国の相当な努力が必要な状況にあります。
このように温室効果ガス排出削減に国際的な関心が高まる中、Global Research Alliance (GRA)は農業由来温室効果ガス排出削減及び気候変動への対応に係る研究分野における国際協調に資する枠組みとして、COP15における設立決定及び閣僚サミットにおける32カ国の憲章への署名を受け発足しました。2021年現在の加盟国は62を数え、当該研究分野における研究機関間、研究者間の交流やデータの相互利用、共同研究及び研究資金獲得枠組み構築の場を提供する役割を担っています。また、FAO(国連食糧農業機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等、多数の国際機構等とパートナーシップを結んでおり、関与する研究者は三千名以上と、全球的な枠組みに成長しているところです。
GRAは水田(Paddy Rice)、畜産(Livestock)、畑作(Croplands)各グループ及びこれら3つを横断するグループ(Integrative)の4つの研究グループに分かれており、我が国は水田分野において農研機構が中心となり、共同議長として統括的な役割を果たしてきているところです。また、2017年には国際農研岩永理事長(当時)がGRAの議長を務め、同年8月につくばで本会合を議長国としてホストするとともに、国際農研と農研機構の共催で国際シンポジウムを開催するなど、我が国もGRAの一員として具体的に大きく貢献している一方で、畜産分野における我が国の貢献はこれまで限定的であり、今後一層のプレゼンスの向上が望まれています。
これらの状況を踏まえ、10月に予定されるGRA-LRG(Livestock Research Group;畜産研究グループ )本会合に先立ち、畜産分野における我が国の研究勢力のプレゼンス向上のため、関連する行政部局及び国内の当該分野研究者を集め、現状共有及び今後の方針策定に向けた国内ネットワーク会合を9月16日(木)にオンライン開催予定です。
https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20210916
(文責:生産環境・畜産領域 前田高輝)