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287. 気候変動サミットへ向けたモーメンタム

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2021年4月下旬、バイデン政権が主催した気候変動サミットにおいて、多くの国が温室効果ガス削減目標値を更新しました。各国による温室効果ガス排出削減目標をもとに、気温上昇抑制効果の推計を行う研究者グループによって運営されているClimate Action Trackerによると、 米国・EU・中国・日本等の最近のコミットメントを考慮すると、21世紀末までの気温上昇を2.4℃に抑制しうるとしています。野心的な目標を表明しながらいまだに気候変動枠組条約(UNFCCC)に目標値を報告していない国々も含め、各国が温室効果ガス排出純ゼロ目標を完全に実行するとする楽観的シナリオの下では、2100年までの温暖化は2.0℃に抑えられる可能性もあるとしています。

世界の温室効果ガス排出の73%を占める131か国は、純ゼロターゲットを採用あるいは検討中です。しかし2.4℃に抑制できても、パリ協定の1.5℃ゴールを0.9℃上回るとされています。また、全ての目標が既に野心的な政策によって支えられているとは言えません。現状の政策が続くとするシナリオでは、気温上昇は2.9℃と予測されています。

Climate Action Trackerによると、アメリカが表明した2005年を基準とした50-52%の削減は大きな前進といえますが、パリ協定の1.5℃目標を満たすには2005年に比べて57-63%の削減が必要とのことです。日本は2013年を基準として42%の削減目標を掲げましたが、パリ協定に見合うには60%の削減が必要とされているそうです。

参考文献
Climate Action Tracker. Global update: Projected warming from Paris pledges drops to 2.4 degrees after US Summit: analysis.  PUBLISHED 2021/05/04 https://climateactiontracker.org/press/global-update-projected-warming-…;

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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